XIII
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は思うが……俺が落ち着かないので勘弁してもらおう。
「あ、あの……は、恥ずかしいよ……」
「素直に甘えとけ。滅多にないぞ、俺がこんなことすんのは」
直に素面に戻るだろう。
今は熱に浮かされて動いているが……落ち着けば何時もの俺に戻る。
優しさ、気遣いなんてものからは程遠い俺に。
「……ねえ、今までキーくんは何してたの? 家にもずっと戻ってなかったみたいだし」
「何時も通りさ。分かるだろ?」
美鶴より以前に既知のことを話したのは風花のみだからそれだけ言えば分かるはずだ。
「そのために、その……この人達と?」
「ああ。それで家に戻ってなかったんだが――」
見晴らしのいい通路にさしかかった時、俺はあることに気付く。
「? どうかしたの?」
窓? から見える空に浮かぶは真円を描く太陰。
今夜は満月だった――――風花のことで頭がいっぱいで、気付いていなかったらしい。
「……」
「どうした?」
「今夜は満月だ。俺の仮説が正しければ……」
巨大シャドウが顕われた際の共通点について洗い出したことがある。
一見バラバラに見えたが一つだけ共通点があった。
それを次の満月の日に確かめようと思っていたのだが……まったく、情けない。
「仮説?」
「四月に顕われた巨大シャドウ、五月に顕われた巨大シャドウ――――どちらも満月の日だったんだよ」
今日が六月八日、モノレールが五月九日――寮への襲撃は四月九日。
月の満ち欠けは約二十九日周期で繰り返される。
そして今日が満月ならば――――
「! 美鶴聞こえるか!?」
ことに気付いた真田が呼びかけるが……
「クソ! 急いで戻るぞ!!」
「何これ……今までのより大きい……それに人を襲ってる……」
状況はよくないらしい。
全員が真剣な顔で頷き、駆け出す。
唯一事態を把握出来ていない風花だけは困惑しているようだが、それを説明している暇はない。
「ターミナルはどこだ……!」
「ハムっち! 散開して探した方が……」
「ダメ! 今の状況でバラバラになって全員の帰還が遅れる方がアウトだから!」
風花なら、風花なら分かるかもしれない。
先程コイツが言っていたことから推測するに…………
「風花、よく聞いてくれ。力の流れを探れないか? 一番下へと向かっている力の流れだ」
「え?」
ターミナルがどういったものかは知らないだろう。
判断材料が不足している状況では探れないのかもしれない。
だが、ターミナルという装置の特性を鑑みるに、あれは下へと繋がっているのは明らか。
だったらその線で探してもらえば――
「――――よく分からないけど分かった。ちょっとだけ待っ
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