明けに咲く牡丹の花
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所に急な不意打ちをしてあたしを殺そうとした、ってのは褒めてあげる」
大きく声を上げると一人の茶髪の少女が木々の隙間、あたしの真横に飛び出し、斬りかかって来た。
振り上げた鎌と斧がぶつかり合って高い金属音が鳴り、戦斧を受け止めた片手が痺れる。鍔迫り合いになり、吹き飛ばす事も出来るが一応膠着しておいた。
「味方を盾にして、さらにこれだけやっても死なないとか……どれだけ外道なバケモンなんですか!」
「ふふ、今も後ろから兵士が狙ってるよね。あんたも結構卑怯なんだね関靖」
ビクリと分かりやすく反応した関靖を一振りで弾き飛ばし、振り切った反動で鎖分銅を後方に放つと鈍い音と同時に短いうめき声が聞こえた。
「……袁家に一番言われたくない言葉ですよ」
憎悪の感情をまざまざと瞳に浮かべてあたしを見る関靖は今にも飛びかかって来そうな程。
「会話するのが時間稼ぎなのも分かってるよー。お綺麗な一騎打ちするつもりは無いみたいだし手早くいこっか」
にやりと笑って告げると関靖は憎らしげに歯軋りをして、覚悟を決めたのか腰を落として攻撃態勢を取った。
研ぎ澄まされた感覚の中、横合いから矢が飛んできたので首を後ろに下げて躱す。
同時に動いた関靖は左斜め下から薙ぎ払いに来た。同じ武器相手の以前の戦、華雄の一撃に比べればどうという事は無い速さ。
性格が表されているような素直な一撃だなと考えながら軽く身を捻って避けると、大振りした彼女は不思議な事に横に飛びのく。
その一所、その時機だけを狙っていたようで、彼女の飛びのいた後方の茂みから兵が矢を放ってきた。
鬱陶しくて一振りで弾き、そのまま鎖だけ持って大鎌を関靖の方へと投げつける。
関靖の表情は驚愕。彼女はきっとこんな簡単に対応されるとは思っていなかったのだろう。
趙雲なら、そのままギリギリまで引き付けてからズレて同時攻撃で殺しにきてたよ。とはさすがに言わない。
戦斧を盾にして受けきった関靖は勢いのまま吹き飛ばされた。
「はは、無様だねー。あたしを止めて時間を稼ぎたいなら趙雲にすればよかったのに」
鎌を引き戻し、軽く手に持ち見下すと、関靖は力強い瞳で尚も敵意を向けて来る。
分かっている。趙雲はこの後の追撃を跳ね返す為に必要だから残れなかったんだろう。
「一つ聞かせて下さい。なんでお前達は殺そうと思えば殺せる私を捕えようとしているんですか?」
睨みながら告げられたのは疑問だった。関靖はあたし達、特に猪々子と斗詩が手を抜いていた事に気が付いていたのか。
「時間無いけど……どうせしばらく行った所に大きな関所もあるしちょっとくらいいっか。公孫賛に従って貰う為にはあんたの存在が必須だからだよ。どう? 大人しく捕虜になってくれるなら傷つかずに
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