明けに咲く牡丹の花
[3/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
問題は無く、突き破られても問題は無い。
彼らは誇りなど持ってはいない。自身が掲げる将であるあたしがそれを持っていない為に。示すのは結果のみ。それが張コウ隊を縛る鉄の掟。
彼らは従順なあたしの下僕であり、夕とあたしに心酔してるバカであり、夕が一番助けたいあの人が以前個人的に持っていた部隊の兵達。一人残らずクズの手も入り込んでない本当の忠義を持った兵。同じような兵がぶつかり合うのなら、馬上では無く白兵戦に身を置いてきた自分達の方が上なのは当然の事だろう。
次々と細かい指示を出し、敵兵達の無謀な突撃をいなし、突き破っていく。
「抜けた奴らはそのまま走っていきな! すぐに追いつくから、さ!」
そのまま兵達の突撃を先行させ、周りの敵兵を斗詩が追いついてくる時に狙われにくいように大鎌の斬撃で切り裂き、矢が放たれるも大振りによる風圧と鎖を回して叩き落とす。
「斗詩、次のとこ行ってるから殲滅したらすぐに来てね」
「ええ!?」
斗詩が追いついてきたと同時にある程度で切り上げ、また先の場所へと赴きながら一つの事に気付いた。
――なるほど、敵に軍師がいたら危ない策だったけど、これなら問題ないや。
軍師がいれば、兵数も兵種も行動も、場所によってばらつかされてこんな単純な突撃では対応しきれなかっただろう。
繰り返し、繰り返し同じ事を続けられるその行動は、きっちりと型に嵌っていて案外簡単なモノだった。変則の型に嵌めればもっと有能な策と為せるだろう。だけど常時死兵の輩はあたしの隊くらいだから事前から袁紹軍が自分達で練るのは無理か。
何度も同じような敵の攻撃を突破し、少しだけ敵との距離が開いたので違和感を覚え、同時に林道を走っているそこかしこから視線を感じた。多分、これはあたしでしか気付けない。道には戦った形跡も見当たらないので確信に至る。
先行させた兵も無視して行うとすれば――――
「集中射撃!」
その言葉が耳に届くよりも速く、追随する二人の兵を無理やり両腕で捕まえて引き付け、壁として直射矢の群れを凌ぐ。
兵の身体は矢が当たる度に脈打ち、肉に突き刺さる気持ち悪い音と苦しそうなくぐもった声が延々と続くかに思えてくる。
「後続! 林の中に突っ込みな!」
遅れて追随していた小隊は足が止まっているだろうからと声を上げると、次々に雄叫びを上げたので突撃して行った事が分かった。
疾く、兵の隙間を縫って後退する。足元や鼻先に次々と矢が打ちこまれる様子から自分の予想は正しかったと理解した。
確実にあたしだけを狙っている。
兵が散開していき、敵の殲滅に繰り出す中、矢もまばらになってきたので弾き返しながら声を上げる。
「出てきな。どうせあんたも主の為に死ぬ輩でしょ? 単純な行動ばかりで慣れた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ