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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百三話 戦時から平時へ
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しかない」

ホアンの指摘にトリューニヒトが溜息を吐いた。私もホアンの指摘に同意見だ、あの三人は頼りにならない。こちらの下部組織として扱うしかないだろう。
「軍の動員解除だが技能や資格の有る人間から民間に戻していこう」
「こちらも技能習得機関の充実に力を入れる。出来れば君の所と協力したいな、トリューニヒト」
ホアンの言葉にトリューニヒトが頷いた。

「悪く無い考えだ、戦う事しかできない戦闘馬鹿を民間に戻すことは出来ないからな。技能を習得させたうえで民間に戻す。動員解除も進むし兵の能力向上にも繋がるだろう」
確かに悪く無い考えだ、教育費がかかるという事を考えなければだが。溜息が出た、何をするにも金がかかる。

「その技能習得の件ですが軍将兵の能力を向上させるという事を前面に出すべきです。動員を徐々に解除する、量は減るが質は変わらない、その辺りをアピールすることで同盟市民を安心させるとともに主戦派の口出しを防ぐことが必要です」
“なるほど”とトリューニヒトが頷いた。

「それとトリューニヒト委員長、補給基地も整理の対象としてください。維持費や管理費がかなり浮くはずです。それを使ってガンダルヴァ星域の惑星ウルヴァシーに新たな補給基地をお願いします」
「ウルヴァシー?」
トリューニヒトが訝しげな声を出した。そして私とホアンに視線を向けてきた。

「ウルヴァシーか、確か居住可能惑星の筈だ。惑星開発が失敗したため放置されたはずだが……」
ホアンが覚束なげに言うとヴァレンシュタインが頷いた。
「その通りです。今後はフェザーン方面も防衛体制を構築する必要が有ります。ウルヴァシーに補給基地を作り軍人、民間人を入植させフェザーン方面の重要な戦略拠点として開発、発展させるんです。雇用の確保を図れますし主戦派達からの安全保障をないがしろにしているという非難を防げるでしょう」

“うーむ”とトリューニヒトが唸り声を上げた。気持ちは分かる、私も唸りたい思いだ。和平後の事といい、ウルヴァシーの事といいなんでそんな事を考え付くのだ?
「とにかく和平を結ぶ事も重要ですが和平を維持する事も重要です。一旦崩れたら再構築は難しい、細心の注意が必要です」
同感だ、皆が頷いた。

「中将、やはり君は政治家になるべきだよ。和平が結ばれたらこっちに来給え」
トリューニヒトの誘いにヴァレンシュタインが顔を顰めた。
「冗談はやめてください、人を騙したり脅したりする阿漕な仕事はもう御免ですよ。和平が結ばれたら軍を辞めて真人間になります」

余りの言葉に皆が笑った。部屋の空気が僅かに和んだ、その時だった、執務室のTV電話が受信音を鳴らした。皆に断ってから受信ボタンを押した。スクリーンに軍人が映った、顔が強張っている、グリーンヒル統合作戦本部長代理? 何故こ
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