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ゲルググSEED DESTINY
第九十四話 遺伝子の支配
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とは思わずアスランは驚愕する。だが、驚いたとしても動きを止めることはない。アスランはそのまま蹴りを入れていないもう一方の足を引き、ビームサーベルを展開させて腹部から肩に掛けて切り裂こうとした。

『そう簡単にやらせんよ』

議長はその攻撃をシールドで受け止め、腹部の拡散ビーム砲によってセイバーに対して反撃を仕掛ける。アスランは咄嗟に蹴りの反動を利用し、後ろに下がりながらMA形態へと変形することで上方へと逃れ、攻撃を回避した。

『議長、貴方は一体何を望んでいるというんですか!平和をもたらすと言いつつも銃を突きつけ、支配をもたらそうという!それで本当の平和が訪れると、本気そう仰る気なんですか!?』

『人は本質的に支配されることを望んでいるのさ。自由とは理性からの解放であり、法は支配や束縛を指し示す。だが一方で、人は人によって支配されることを嫌う。人が成す出来事はその多くが完璧でないからだ。だからこそ、自分は不当な扱いを受けている、悪いのは自分ではなくそれを利用する他者だと、支配者が悪いと言い、それを討つ事になる』

MA形態に変形したセイバーはそのまま翼のビームブレイドで切り裂こうと不規則に移動しながら突撃する。しかし、議長はその動きを見切り、逆にビームトマホークで翼を切り裂いた。

『グァッ……!?』

『歴史は常にその繰り返しだ。君も見ただろう。そして、共に戦ったであろう?総ての罪はロゴスにあると、そう言っただけで大衆はそれこそが総ての真実だと思い、動いた。実に愚かなことだとは思わないかね?まるで自分のこの手は汚れていないと、正しいことをしたのだと、間違った解釈をする』

大気圏内での戦闘でない為、翼部が破壊されてもダメージは思った以上に少ない。アスランは一度距離を取り直し、収束ビーム砲を構えて放つ。しかし、議長はその攻撃を全く意に介さず避け、そのままメガビームライフルを撃ちこんできた。セイバーはシールドでその攻撃を受け止めるが、出力が高いのか吹き飛ばされてしまう。

『グゥ……ッ!なんて火力だ!?』

たかが一発のチャージすらしていないビームの威力に押し込まれるセイバー。それだけでも驚異的な威力を誇っている事が分かるが、それ以上にその威力の攻撃を連射するという事が異常であり、脅威だった。

『故に、新たな世界を創るために、私自身が武器を取るのだよ。私は人という存在が正義を突き付けれるものだとは思わない。そして、正しいとも――――だが、遺伝子は真実を突き付ける。人が人を支配するときは終わり、遺伝子が人の世を支配する世の中となる。やがて人は、己の在り方を、生き様を、立場を知り、誰も反発をおこそうとはしない世界になる』

反撃も近づくことも迂闊に出来ない。アスランは攻撃を必死に躱すか防ぐしか出来なかった。


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