暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
記憶を綴じて ─フェンサー(T)─
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 商店街から少し歩いたところにある公園。
 さほど目立つものもない、こじんまりとした場所である。

 そんな庶民の憩いの場で、何故か俺はバーサーカーのマスター、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと親睦を図ることになっていた。

 年端もいかない容姿の、外国の貴族のお嬢様。
 美麗な白雪のような長髪に魔的で蠱惑的な赤い瞳。
 中々のお値段がしそうな重厚なコートに身を包んだ少女とこの場所は、場違いとは言わないまでも明らかに釣り合っていない。

 そんな彼女と、公園のベンチで隣り合わせに座っている。



 どうしてこうなった?



「そりゃあね。俺はルール守るけど、中にはマスター殺しをする奴もいるんだから気を付けないと」
「別に問題ないわ。私以外のマスターなんて取るに足らないもの。それを言うなら、クロガミの方こそ気を付けないとダメよ?
 さっきは私が特別に見逃してあげてたけど、後ろに居たのが他のマスターだったなら背中からバッサリなんだから」
「襲いかかってきたのがマスターなら俺は対処できるさ。近くにいるのがサーヴァントならさすがに気配はわかるだろうし。
 イリヤスフィールは子供だし、バーサーカーも遠くに置いてきてるんだろ? 護衛同伴じゃないなら、迂闊に出歩くのは危ないぞ」
「あら、それなら今は大丈夫ね。ここで他のマスターが襲ってきたら、クロガミが戦ってくれるんでしょう?」
「え? いや、まあ…………」

 このようにさっきから言いくるめられています。

 なんだろう。俺、この娘苦手かもしれない。
 初めてのタイプっていうのもあるけど、中々こっちに主導権握らせてくれないのがなんとも。

 それに敬語は好ましくないとかで、謙譲語、丁寧語と口調を変えていった挙げ句のタメ口だ。
 俺の意識上では向こうの方が立場とかその他諸々が上なので、こっちとしてはやりにくいったらありゃしない。

 しかもこちらが上下関係を意識しているのを知ってか知らずか──────

「私が勝つに決まってるんだから、聖杯戦争の話なんてつまらないわ。他の何か面白い話をして、クロガミ?」
「また芸人に言ったら死刑宣告(デスワード)になりかねないことを……」

 ────このお姫様発言である。

 俺は貴女の従者ですか。
 面白い話をしろとかそんな無理難題仰られましても、俺としては叶えるのは非常に難しい訳でして。

「もう少しジャンルを絞ってくれないか。漠然と面白い話をしろと言われても難しすぎる」
「んー、何でもいいわよ? 聖杯戦争とか、魔術師に関すること以外ならね。
 クロガミが普段何をしているかとか、そういう他愛ないものでいいの」

 名前を呼ばれるたびに違和感がある。
 高飛車な風に苗字で呼ぶと
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