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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
記憶を綴じて ─フェンサー(T)─
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「さて。これで幾らか勝機は見えたが」
「ハッ、本気で言っているのか」
無数の剣が並び立つ丘の上。
その中の一本を手に取りながら、赤い騎士は戦闘態勢に入る。
「何も可笑しいことはあるまい。
唯一つの
真作
(
やり
)
が、無限の
贋作
(
けん
)
に勝てるとは限らんぞ?」
不敵に微笑みながら、赤い騎士は告げる。
この世界にあって、敗北するのはおまえだと。
而して、漆黒の騎士は失笑を返す。
「無限の剣だと? 笑わせるな。
あらゆる御敵を屠る必滅の一撃こそ、武究の極致であると知れ」
ようやく、漆黒の騎士も戦闘態勢に入った。
もはや両者が止まることは有り得ず、決着がつくときはどちらかの命の終わりを以てだ。
「
投影
(
トレース
)
、
開始
(
オン
)
────」
「────
起動
(
セット
)
、
魔術廻炉
(
エーテルドライブ
)
」
互いに正反対の道を歩む相手を認めながら、相容れないが故に二人は殺し合う。
此処に、たった二人だけで行われる戦争が始まろうとしていた。
「先手はくれてやる。来いよ、
錬鉄剣騎
(
ブレイドワーカー
)
…………!!」
「その慢心、今に後悔するぞ。
永久戦騎
(
ラストフェンサー
)
…………!!」
互いが手にする宝具の真名解放を初撃に、二対の騎士が激突した────────
夜にはまだ早い夕刻。
湯船に浸かりながら、遠い思い出、自分のモノではない記憶を思い出していた。
「ほんと、どっちもバカな
男
(
ヒト
)
…………」
独り呟き、口元まで湯に沈みながら、気持ちだけは沈まないように心掛ける。
肩の傷はほとんど治癒し、表面上は完璧に元通りだ。
実際の稼働がどうかを実体化して確認し、鈍痛は残るものの戦闘に支障はないと判断。
実体化と霊体化を繰り返して主に負担を掛けるのを気にし、実体化したまま待っていたのだが、肝心の主は一向に帰ってくる気配がない。
待ち惚けているのも退屈だったため、狭さ以外は不満のないバスに湯を張り、人間だった頃は日常だった入浴を楽しんでいたのだ。
「もう……すぐ帰るって言ったくせに…………」
己が主に思いを馳せながら、召喚されてからのことを思い返す。
イレギュラーな形で割り込むことになったが、彼があるがままを受け入れてくれる性質で良かった。
自分だからこそこんな状態になることと引き換えに現界できたが、逆に彼にとっては迷惑だったかもしれない。
知名度もなく、クラス補正も何もない。
今の自分の能力のほとんどは、マスターであるレイジのポテンシャルに依存しているだけ。
こんな中途半端なサーヴァ
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