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IS 龍咲桜子の虚実の日々
IS学園 入学初日 一
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た俺としては最初IS学園に入るのを躊躇してたんだが、逆に考えればISを身に纏ってその技が使えたならまさに鬼に金棒だ。剣の腕もISの腕も磨いて、どんな奴が相手でもダチを守れるくらい強くなってやるっ!」
「「「「「っっっっっっっっっ!!??」」」」」

 校内唯一のイケメン男子が、熱い口調で守る強さを謳った自己紹介というより決意表明。…………赤い実が爆竹のように連鎖的にはじけていく光景を幻視したのは気のせいだと思いたいですね…… あれですか、一夏が英霊になった時の宝具は"真の英雄(イケメン)は眼で(オト)す"とかになるのでしょうか。

 しかしそれにしても"生身でISを打倒する術"ですか。もしや一夏は既に"心剣"を会得しているということでしょうか? あの時一度見ただけでその原理と効果を把握する辺りやはりそのセンスは侮れないと思いますが、ひとの家の秘奥をべらべらと話すその口の軽さのほうがもっと侮れないです。

「随分大口を叩いたな」
「千冬姉っ!?」
「学校では――」

 ひゅん、と風を切る音が聞こえました。なかなかの速度でしたが、私はしっかりと振り降ろされた黒い出席簿の軌道を捉えました。

「……え?」

 大多数の生徒たちは何が起こったのかわからないようで、出席簿とそれを振り下ろした教師、そして若干立ち位置が変わっている一夏に交互に目を向けています。一瞬の攻防でしたが、一夏は死角から振り下ろされた出席簿を無駄のない動作で避けたのです。私には見えていましたよ。

「――織斑先生だっ!」
「うごぅあっ!?」

 素早く切り返し、今度こそ反応できない速度と威力を持って一夏の額をはたいた出席簿。一度避けられただけで黙って引き下がるような人じゃないですよね、織斑千冬先生は。ああ、一夏は頭を抱えて蹲っています。こんなことなら一撃目で食らっておくべきでしたね。
 しかしあの回避は体が勝手に、という感じでした。手加減をしていたとはいえ、千冬さんの攻撃を無意識で避けられるくらい一夏は成長しているということでしょうか。これは本格的に抜かれたかもしれません。

「織斑、先生?」
「そうだ。これから一年、このクラスを担当する織斑千冬だ」

 頭をさすりながら席に着いた一夏を確認すると、織斑先生は教壇に立って名乗り上げました。
 その後はやいのやいのの大騒ぎです。モンド・グロッソ第一回大会の優勝者、通称ブリュンヒルデ。強さもさることながらその中世的なルックスから百合的な意味で女子たちの憧れを一身に請け負う理想の女性。一組に配属された生徒はどうやらその中でも熱狂的な部類の様で、「好きですっ!」「抱いてっ!」はまだいい方で、「叱ってくださいっ!」「躾けてくださいっ!」とかアブノーマルな方もいるようです。さすがの先生も頭が痛そうです。

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