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IS 龍咲桜子の虚実の日々
IS学園 入学初日 一
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は顔をあげ、自分の手を引くのが誰なのかようやく気づいたようです。

「ほ、うき? 箒かっ!?」
「ああ、久しぶりだな」

 5,6年ぶりだというのに顔を見ただけでタイムラグなしで言い当てましたよこの人。ああ、箒も表情は変わっていませんが、一夏に見えない角度でガッツポーズをしていますね。私以外にも気づいている子もいるようで、小声で「小っちゃいガッツポーズ可愛いっ」という声も聞こえてきます。私も同意です。見た目や姿勢で凛々しい印象を抱かせる箒がやるからこそ感じる可愛さですね。いわゆるギャップ萌えでしょうか。
 一夏の方は生命線を見つけたことで力が抜けたようですね。女の園で孤立無援だと思っていたら幼馴染がいたのですからそれも当然なのでしょうか。あの唐変木がそんなことを気にしていたのかと私としては意外に感じますが。

「箒がいてくれてホントよかった」
「そうか」

 表向きそっけない返答していますが、内心は歓喜の嵐でしょうね。ポニーテールが犬の尻尾のように揺れているのは気のせいでしょうか……? しかし箒も再会した当初と比べると丸くなりましたよね。政府の要人保護プログラムで各地を転々としていたせいでまともに友人もできず、両親とも離れ離れの環境では気の休まる日もなかったのでしょう。箒が偶然"彼"と再会し、私と出会い、そのつながりで本音や簪と友人になってからは尖った感じが薄くなっていきました。IFの話をしても仕方ありませんが、もしも私たちとの繋がりがなく、この場で唯一の知り合いが一夏だけだった場合、箒はどんな反応をしていたのでしょうか。
 そうこうしているうちにスーツに身を包んだメガネの女性が開け放たれたままだった扉からか入ってきました。一夏はもう少し話したそうな様子ですが、箒に促されておとなしく席に着くことを選びました。幸い箒と一夏の席は隣同士。一夏は多少の緊張はあるものの、親しい友人がそばにいることである程度リラックスできているようですね。

 山田真耶と名乗った教師の進行で各自生徒の自己紹介が行われていきます。一夏の苗字は「お」りむらなので比較的早く呼ばれました。さてどんな自己紹介をするのかと教室中の注目が一点に集中していきます。かくいう私も一夏の一挙手一投足から目が離せません。
 名前を呼ばれた一夏は、焦った様子も慌てた様子も見せず、落ち着いた様子で立ち上がりました。先頭の席からくるりと振り返り、クラス全体をゆっくりと見渡していきます。いずれ私の自己紹介の時に気づくでしょうが、今は面倒を避けるため私は前の子の背中に顔を隠すことにしましょう。
 そんな私の行動に気付いた様子もなく、一夏は決意のこもった強い瞳で語り始めました。

「織斑一夏。何の因果か世界で唯一ISを動かせる男子になってしまった男だ。生身でISを打倒する術を磨いてい
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