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IS 龍咲桜子の虚実の日々
IS学園 入学初日 一
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、大抵の人なら大丈夫だと思いますよ?

「一夏のクラスはどこですか?」

 簪の現状はさて置いて、私はある意味一番懸念となる相手の名前を挙げます。

「私たちと同じ一くみ〜」
「そう…… よかったわね、箒」
「わ、私は別に一夏のことなど気にしていない! ……それで、お前はどうするのだ」
「私ですか? 私は、どうもしません。"私"は初対面ですもの。お友達になれたらお友達になるもよし、特に関わり合いがなければただのクラスメイトになるだけですよ」
「……つまり、事情を話す気はないのだな?」
「一夏は口が軽いとは言いませんが失言は多いのです。余計なリスクは負いたくありません。少なくとも"私"個人が一夏を信頼できると思うまで話すつもりはありません」
「そうか」
「だから、もし聞かれたら双子ということで宜しくお願いします」
「わかった」
「りょ〜かい」
「……私はクラス違うから関係ない」
「そこで地味にいじけないでください」

 そうやって話しているうちに、昇降口前の人垣も薄くなったのでそれぞれの教室に向かうことになりました。



 あれから十数分。私の席は窓際の一番後ろなので教室の様子がよく見渡せます。教室の席もあと一つを除いて埋まりました。
 教室の中はぴんと張りつめた空気が漂っています。それは新生活への期待と不安というよりも、もっと目先に事に向いているようです。今このクラスに集う少女たちが見つめている物は二つに一つ。一方は「織斑一夏」というネームプレートが乗せられた机、そしてもう一方は――

「お、お邪魔しま〜す…… ひぃっ!?」

 その瞬間、全ての視線が一糸乱れず教室の入り口に集まりました。そりゃ悲鳴も上げようものです。ですがそれも仕方がありません。彼こそ世界中に一番最初に名をとどろかせた男性IS装者。教室内の少女たちが今か今かと待ち構えていたイレギュラーなのですから。

「お、お邪魔しましたーー」
「「「「あぁっ!?」」」」
「あら、逃げましたね」

 まあIS学園においてのイレギュラーとは言っても、一応普通の男子。これだけのプレッシャーに晒されれば逃げ出すのも道理でしょう。

「こら、待て一夏」

 素早く立ち上がり、閉じられた扉を箒が開き直しました。その素早い行動に、ある子は「出遅れたっ!」と嘆き、ある子は「いきなりファーストネーム!?」と驚愕しているようです。にわかに騒がしくなってきました。

「やっぱ何かの間違いだったんだ。よし、帰ろう」
「何をバカなことを言っている。お前の席はこっちだ」
「おぉっ?」

 手首をぐっとつかんで、箒が一夏を教室内に引き込みました。その動きでふわり止まった箒の黒髪が、腕を引かれたせいで前かがみになっていた一夏の頬を撫でました。一夏
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