第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十一話 七枷の郷
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けた隆太郎。
「さぁいけ!やっつけろ!」
と何故か命令を飛ばしている黒い瞳で赤毛の長髪を後頭部で結んでいる和真が口々にそんな事を言ってくる。実はこの三人、郷では有名な悪戯小僧三人組なのだ。僕を挟んで近くまで迫ってきている熊と睨みあう三人組、因みにこの三人を追って来た熊はルーミアが能力で造った物である。
「…今日は何をしたんだい?」
後ろに隠れている三人にそう聞いてみると、
「ぼ、冒険?いやえーと、そう!真理の探究だよ!」
「浪漫!男の浪漫なんだよ!」
「秘密の花園に踏み込んだだけ!」
三人の言い分に僕達は疑問符を浮かべるが、その疑問を払拭する人物が現れた。
「女子の着替えを覗くのが真理?浪漫?和真の言った事が一番近いわね、褒めないけど」
何時の間にか其処に居たルーミアがそう言って三人を冷たい視線で射抜いている。当の三人は「ひぃぃぃぃぃ!!!」と情けない悲鳴を上げながら僕を盾にしてルーミアの視線から隠れようと必死だ。
「の、覗きだと!なんてうらや…ゴホン!何て事をしてるんだ!俊平!ルーミア先生申し訳ありません!」
秀介がそう言いながらルーミアに頭を下げるが、ルーミアは俊介に頭を上げる様に言い改めて三人組に視線を向ける。視線を向けられた俊平達は何とか危機を脱しようと、
「七枷様なら俺達の気持ち分かるよね?」
「男の浪漫だから仕方がないってルーミア先生に言ってやってよ!」
「僕が許す!ルーミア先生を倒すのだ!」
僕に同意を求めてくるが、というか和真は調子に乗りすぎだよ。まぁそこは置いといて、
「ごめんね僕は覗きなんてしないよ。覗く位なら更衣室に堂々と入るね!」
僕がそう言い放った瞬間、僕の脳天目掛けて振り下ろされた黒い兇刃を咄嗟に両掌で挟み込み斬り裂かれるのを防いだ。言わずもがなルーミアの大剣である、半分は冗談なのに。
「あんたの存在が子供に悪影響を与えているんじゃない?ねぇ祭神さん?」
力を緩める事無く僕にそんな事を言ってくるルーミアに、隣りで優雅にお茶を飲んでいる紫が声をかける。
「お父様の事は一先ず置いといてアレ、追わなくていいの?」
紫が指差す方に視線を向ければ、まさに脱兎の如く走り去っていく三人組の姿が見えた。それを見たルーミアは溜息を一つ吐くと大剣を消し三人が走り去った方に視線を向けながら一言呟いた。
「うふふ、まだ逃げるなんて本当にあいつ等はどうしてやろうかしら」
怒っていると言うよりはどこか楽しそうだ、そぉまるで獲物を弄ぶ肉食獣みたい。そんな暗い笑みを浮かべながらルーミアは僕達に短く声をかけ三人を追って通りの向こうに消えて行き、僕達はその後姿を見ながらあの三馬鹿の冥
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