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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十一話 七枷の郷
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はしょうがないとしても御三方がその様な態度ですから虚空様がだらけて祭事をサボるんですよ!」

 栞の言う通り、紫は父親である虚空に甘いので何を言った所で聞いてもらえない。しかし虚空の次に自由奔放な諏訪子はともかく神奈子やルーミアが虚空の怠惰に寛容的事が栞には納得いかないのである。
 神奈子は怒った顔をする栞に曖昧な笑いで答えながら何とか宥め、祭事を行う為に栞と共に本殿へと足を向けた。実際只のサボりなら虚空には神奈子及びルーミアの雷が落ちるが理由を理解している為、余程の事が無い限りそんな事にはならない。
 虚空が神社の祭事に参加したのは百年の内僅か数回だけ。理由は形だけの祭神を演じているからだ。信仰が自分に集まるのを意図的に避け神奈子と諏訪子に集まる様に振舞っており、周囲には祭神として認知されてはいるが向けられるものは信仰ではなく信頼だった。
 信仰を受けて神に昇華するのが嫌なのか、それとも諏訪子に対する贖罪なのかは本人が何も言わないので分からない。それ故に諏訪子達は虚空が祭事に出なくても文句を言わない様になっていた。
 この虚空の事情は神奈子達しか知らず歴代の巫女の中にも栞の様に虚空に祭神として振舞わせようと努力した者はいたが、結局は徒労に終わっていた。
 栞は物心付く前から虚空に懐いていたので特にその気持ちが強く神奈子達も無下に出来ず困っている。まぁ結局は虚空が真面目に祭神として振舞えば済む話なのだが。
 そしてその困った祭神様はというと、




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




「ああ〜いい天気、ああ〜お茶がうまい、ああ〜本日も平穏なり〜」

 郷の行き付けの茶店で店の前に置かれた長椅子に座りながら僕はまったりとしていた。天気も良く微風が心地良い、平穏を象徴している様なそんな時間だ。
 
「そうねお父様、こう心地良いと眠くなりそう」

 そう言って左隣りに座っていた紫が僕の左肩にもたれかかる姿が成長した容姿と相まって艶めかしく道行く男衆の視線を集めている。因みに僕には殺意の篭った視線が注がれているけど。
 紫の容姿は随分と大人びて今では神奈子と身長もスタイルも殆ど変わらない。服は大人っぽい紫色のパフスリーブパーティードレスを身に纏っているが、頭には昔から変わらず赤い細紐でリボンをした白色のナイトキャップを付けている。
 神や妖怪の容姿は本人が納得するものになるらしいく、紫は今の姿を望んだという事になる。そんな事を思いながら僕は視線を右隣に向けると、そこには全く姿形が変わっていない諏訪子が幸せそうに団子を口に運んでいた。つまり諏訪子にとって今の姿が一番落ち着く姿という事だろう。
 僕の視線に気付いたのか諏訪子が此方を向き問いかけてきた。

「ん?何
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