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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第八十四話 フェザーン謀略戦(その6)
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す。今も追われている。場合によっては問答無用で撃沈される可能性も有ります」
『口封じかね、追手の中に地球の手の者がいると』
「可能性は有るでしょう。帝国、同盟がこのベリョースカ号の安全に関心を持っている、フェザーンはベリョースカ号の安全と航行の自由を保障する義務が有ると声明を出してください」

提督の言葉にスクリーンの四人が顔を見合わせました。
『良いだろう、……そちらはどうかな』
『異存ありませんな』
ブラウンシュバイク公とトリューニヒト委員長が同意しました。それを見てヴァレンシュタイン提督が言葉を続けました。

「現在同盟の三個艦隊、五万隻がフェザーンに向かっています。もし我々の安全が脅かされた場合、同盟軍三個艦隊にフェザーン本星を攻撃させる、それも宣言してください」

『フェザーンを攻撃だと。しかも卿ら反乱軍に委ねるというのか』
ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が顔を顰めています。コーネフ船長も“馬鹿な、何を考えている!”と詰め寄ろうとしシェーンコップ准将に取り押さえられました。

「帝国、同盟がフェザーンに対しベリョースカ号の安全と航行の自由を保障するように命じたにもかかわらずフェザーンがそれを守らなかった。当然ですがそれに対しては報復が必要になるでしょう、それを同盟軍が行う」
『……』

ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が沈黙する中、口を開いたのはシトレ元帥でした。
『貴官は何を言っているのか分かっているのか? フェザーン本星を攻撃させる? 無抵抗の民間人を攻撃するというのか。どれだけの人間が死ぬと思う、それを我が軍の兵士にやらせる? 大量虐殺だぞ、分かっているのか?』

『シトレ元帥の言う通りだ。フェザーンは我が帝国の自治領でもある。そんな事は許すことは出来ん』
ブラウンシュバイク公がシトレ元帥に同意しました。他の二人も頷いています。旗色が悪いです。

皆が反対するのは分かります。民間人の大量虐殺なんて少しも名誉になりません。でも私達の命もかかってるんです。そんな頭ごなしに反対しなくても良いでしょう。まるで私達などどうなっても良いと考えているみたいです。思わず反発を覚えました。

そんな中ヴァレンシュタイン提督が笑みを浮かべました! 大魔王様降臨です。これで私達は助かりました。当然です、大魔王様が私達眷族を見殺しにするはずが有りません。大魔王様は敵には容赦有りませんが味方にはとても情が厚いのです。

「続き、見ずとも宜しいのですか?」
優しい声でした。ですが間違いなく大魔王様の声です、スクリーンの四人は顔を顰めました。
『……』

「今こうしている間にも我々は攻撃されるかもしれないのです。ベリョースカ号が攻撃され撃沈されればフェザーンと地球の秘密は何も分からなくなる。生き証
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