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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
帰路
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寒ぅッ!」

背後で藤沢が寒そうに二の腕をさする。

しかし、コートとマフラー完備のアイツは自分よりは温かいはずなので、そこら辺も違うなぁと間宮はぼんやりと思った。

病院から出たことを幸いに、さっそくスーツの懐に手を突っ込んでマイルドセブンの箱を取り出す。本当は敷地内禁煙なのだが、まぁ細かいことは気にするべからずだ。

一本取り出し、百均で買った安物のライターで火をつける。

うぇ〜、と藤沢が舌を突き出した。

「早速タバコッスかぁ?先輩。今のご時勢、喫煙者は肩身が狭いだけですよぉ」

「だーからこうして吸える所で吸ってんだろが、アホ」

ぱかんと後頭部をはたいておいて、間宮達はタクシーを捕まえるために歩き出す。

そもそも、こんな玄関先でいつまでものんびりタバコ吸ってたら、例え警察でもガードマンにしょっぴかれるかもしれない。

紫煙を吐き出し、その薄煙の向こうに存在する景色を睨む。

「……………オイ、藤沢。お前ぇはどう思った?」

主語がない会話。

しかし、さすがの藤沢もその単語が誰を指し示しているかは解かったようだった。

あごに手をやり、とくに感慨深げもなさずに言う。

「何か、不思議な子っしたねぇ。俗世離れしてると言うか……。まぁ、二年もゲームの世界に閉じ込められてたんじゃぁ、誰しもああなるんスかねぇ」

「だよなぁ」

どうやら藤沢は、自分が感じたような感情は抱いてないようだった。

天才なのか、アホなのか。いや、絶対に後者か。

「だがまぁ、あの坊主がタダ者じゃねぇのぁ分かったな」

「へ?」

きょとんとした顔でこちらを見てくる藤沢を横目で見つつ、間宮は再び紫煙を吹き出した。

「あの眼だ。あんなイカれた眼ぁ久し振りに見たぜ」

「イカれてた?くりくりして可愛かったじゃないスか」

「……………俺ぁあんな眼を一度だけ見たことがある」

どこですかぁ?と興味なさげに返す後輩刑事に、眼を鋭く細めながら間宮は口を開いた。

「お前、聞いたことぐれぇあるだろ?五年前にあった、《西新宿無差別連続殺人事件》」

ソレの名前が出た時、少しだけ藤沢の顔が引き締まった気がした。

その頃、こいつはまだ警察学校に入るか入らないかぐらいだっただろうか。それでも、全国ニュースで連日放送されていたあの事件の事くらいは知っているらしい。

「あの事件(ヤマ)犯人(ホシ)って確か、先輩が…………」

「あぁ、俺が捕まえた。そいつの眼な。あのガキの眼とそっくりなんだよ。人を殺すのが愉しいって思ってる奴の、な」

「……………………………」

藤沢は急に寒気を感じたかのように、再度二の腕をさすった。

「あのガキャぁ何か匂いやがる。ちょっく
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