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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
帰路
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微かな電子音が冴え冴えとした廊下に響き、ドアが音もなくスライドする。
一歩踏み込むと、涼やかな花の香りが二人を包み込んだ。
真冬にも関わらず、色とりどりの生け花が部屋の中央に飾られている。広い病室の奥はカーテンで仕切られており、間宮は「うひゃー」などと歓声を上げる藤沢の後頭部を軽くはたきながら近づいた。
しかし布に手を掛けた途端、言い知れぬ悪寒が間宮の背筋に走った。
まるで、本能的にこのカーテンの向こう側を見てはいけないと分かっているかのような。
───何を馬鹿なことを。
そんな思考の後、間宮はそっとカーテンを引いた。
最先端のフル介護型ベッド。ジェル素材のそれは確か一昔前に開発され、床ずれを防いで老廃物を分解浄化するということでニュースにも取り上げられていたと思う。しかし、それなりのコストが掛かるためか、大量生産や家庭普及にはそれほど向かなかったようだ。
壁にはまった大きな採光ガラスからは、真冬には似つかわしくない柔らかな陽光が降り注ぎ、白く、清潔な室内を淡く照らし出している。その中央に────
いた。
窓の外を見ていたと思われる少年を見、間宮は生まれてから初めて知る感情に囚われた。
綺麗だ。
まるでそれは、一枚の絵画のようだった。
唯一絵画と違う点は、平均的に見てもかなり線が細いその少年が首を動かし、訪問者────自分達を見たというところか。
「どちらさま?」
発せられた声もまた、綺麗なものだった。いや、綺麗と言うよりは透明だと思った。
凍て空の下で凍る氷のような。
晩秋に吹く冷風のような。
そんな声。
「あ、あぁ。失礼。小日向蓮君………かな」
「はい……小日向蓮なら僕だけど。おじさん達は?」
その言葉に導かれるように間宮の手は懐に伸び、そこにいつもしまっている警察手帳を取り出した。
「警察だ。スマンが、ちょっと話を聞かせてくれるかな?」
思えば、この時点で二人の刑事は、この少年に《呑まれていた》のかもしれない。あるいは、この部屋に入ったその時点から。
自分達が、あまりにも穢れきっているから。
目の前の、あまりにも透明な少年が眩しすぎるのだ。
文字通り、世界と言う枠組みから二年もの間放り出されていたこの少年が。
そんな、《呑まれた》中年刑事の言葉に少年は
「うん、いいよ」
透明な笑みを浮かべた。
事情聴取は、ごく簡単なものだった。
約二十分後、間宮と藤沢はエントランスを潜り、適度に管理された病院内の空気の中から肌に突き刺すほどの真冬の空気の中に躍り出た。
結構な温度の違いに、肌が一気に総毛立つ。
「うひ〜っ、
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