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それぞれの白球
加持編 血と汗の茶色い青春
一話 礼を是とせよ
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を、俺はほどなく知る事になる。




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「いきなり蹴飛ばすなんて、あんなのアリかよ」

一通りのレクチャーが終わると、俺たち一年は割り当てられた自分の部屋で、夕食までに荷物の整理を命じられた。
一応、一年は一年同士の部屋で安心した。
怒らせりゃ問答無用で殴られる先輩と2人部屋なんて耐えられる気がしなかった。

「ん〜、ま、仕方ないんじゃな〜い?」

俺と相部屋になったのは、一年の中で一番背が高く、横の付きもしっかりした奴だった。
デカい体のイメージもそのままに、いきなりの先輩の逆鱗にも泰然自若としている。
こいつの名前は、白神誠也と言う。

「部屋が一年同士ってだけで俺は幸せ〜。ぐっすり眠れるしな〜。じゃ、お休み〜」
「お、おい!まだお前荷物バラバラじゃねーか!」

ベッドに布団だけ敷くと白神はそのまま、荷物は放っておいて眠り始めた。
俺が文句を言っても、「晩飯に起こしてくれればいい」と言って聞かなかった。
仕方なく俺が白神の分の荷物を整理した。


いきなり先輩に口答えするような調子に乗ったやつも居るかと思えば、こんな風にのんびりし過ぎてる奴も居る。

エラい環境に身を置いちまったかもしれねぇ。
そう思わずには居られなかった。




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<夕食の時間である。1年生は食堂に集合せよ。繰り返す、1年生は食堂に集合せよ。>

このアナウンスを聞いてすぐ、俺たちは食堂に向かった。1年生は最も便利が悪い、寮の上の階の部屋をあてがわれている。
階段を、少し急ぎながら降りて、一階の食堂に向かった。

「ふゎ〜あ…」

寝起きの白神は、寝ぼけた目を擦っていた。
こいつときたら、俺が横っ面をひっぱたくまで起きようとしやがらなかった。
おかげでみんなより、俺と白神の2人は遅れて食堂に着いた。

1年は横一列に並ばせられていた。
俺と白神はその列の端に並んだ。
並んだ途端、その目の前の連中に俺は息を呑んだ。

殺気。そこに溢れてるのは殺気だった。
練習用ユニフォームを泥で汚し、一様に眉間に皺を寄せている、大勢の「男達」。
俺たちとわずか一つ二つしか歳が違わないとは思えなかった。
少年、いや違う。こいつらは男だ。
何だこいつらの出す、この雰囲気は。
こんなの、少年な訳ねぇじゃねぇか。

「おい!!」

先輩方の中心に居た人が、大声で怒鳴った。
その声は頭の芯にまで響いてくるようなデカい声だった。

「何タラタラしてんだボケどもがぁ!!呼ばれたら全力で走ってこねぇかバカタレが!!

今すぐやり直せ!!!!」

俺たちはそれだけで、何をすべきか悟った。
全員弾かれたよ
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