暁 〜小説投稿サイト〜
《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
腰抜け
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
〈7〉





シックな雰囲気の喫茶店。同席する少女は、やはりというか相当に手強かった。

強引に連れてきたのが悪かったのか、はたまた単純に俺が嫌いなのか。じとっと上目遣いでこちらを観察する視線は、その事を心配せずにはいられないほど警戒心に満ちている。まるで人見知りの猫のようだった。

どうすんのよ俺......

素知らぬ顔で向かい側に座りつつ、如何にも喫茶店になれている雰囲気を醸し出しながら、俺は自問した。女子にそこまで苦手意識はないが、ここまで守りの堅い奴は、どんな話題から切り出したらいいのだろう。普段詩乃が図書室に入り浸っていることから推測するに、本が好きなのだな、ということは分かる。さて、そこからどう会話をつなげるべきか。

「あの......」

「なぁ......」

沈黙の数秒を払拭するために、捨て身で挑んだ玉砕戦法も、こんな風に声がぶつかってしまえば、失敗したも同然だった。とっさにどうしたらいいか分からず、俺はちょっと笑って「先どぞー」と言った。なぜこんなに気まずいんだ。

「......どうして、私によくしてくれるの?」

小声ながら、しっかりと通る声で彼女はそう言った。ここを聞かなければには先へ進めない、そんな感じの声だった。

まずは他愛ないことを話して壁から降りてきてもらおう、と考えていた俺は、いきなり茶ぶ台をひっくり返されたような気がして、うっと呻いた。恐い。正直遠藤の非でなくやっかいだ。

「ん〜、それは同じクラスメイトとして見逃せないというか? 前から気になってたんだよね朝田のこと......あー、違う違う、そういう意味じゃなくて純粋な興味として」

前から気になってたんだよね、のあたりでさっと顔を青ざめさせた詩乃に、俺は急いで取り繕う言葉を言った。その反応に若干ショックを受けつつ、運ばれてきたきたコーヒーに口をつける。ほっとした様子を見せた彼女も、紅茶に手を伸ばす。取りあえず小休止、みたいな空気が可笑しかった。

「それは、道嵩君があの事件を知っているから?」

再びこちらをみた詩乃が問う。これも核心を突く言葉だ。どうやらこの少女は、やると決めたらなりふり構わないタチらしい。まったくオブラートに包まないその言動に俺は苦笑いした。

「まぁ、そうかな。正直それがなかったら、遠藤にちょっかい出すこともなかったと思う」

「......」

本当はもっと根が深い話なのだが、面と向かって言えるのはこの程度だ。いっそう彼女の警戒心が強くなったのを感じて、こりゃ失敗だったかな、と胸中に呟く。

「......悪いけど、あの事件について道嵩君が知ってる以上の事を私は話せない。なぜなら、貴方が知っていることが”全て”だからよ。遠藤さん達が学校に言いふらしたこと
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ