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剣の丘に花は咲く 
第三章 始祖の祈祷書
第一話 蘇る者
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「その四大系統に加え、魔法にはもう一つの系統が存在する。始祖ブリミルが用いし、零番目の系統だ。真実、根源、万物の祖となる系統だ」
「零番目の系統……まさか虚無!」
 
 男は頬を興奮に赤く染めると、尊敬の眼差しの中に畏敬の念も混じらせた。

「余はその力を、始祖ブリミルより授かったのだ。だからこそ、貴族議会の諸君は、余をハルケギニアの皇帝にすることをきめたのだ」
 
 クロムウェルは男たちを見回すと、ウェールズの死体を指差した。
 
「さて諸君。余はウェールズ皇太子を、是非とも余の友人に加えたいのだが。彼はなるほど、余の最大の敵であったが、だからこそ死して後は良き友人になれると思うのだが、異存のある者はいるかね?」
 
 膝を着いた男たちは首を振った。

「閣下の決定に異論が挟めようはずもございません」

 クロムウェルはにっこりと笑うと、先ほど質問してきた年若い男を見る。
 
「では君に、『虚無』の系統をお見せしよう」 

 男は、感動の面持ちでクロムウェルの挙動を見つめ。
 クロムウェルは腰にさした杖を引き抜くと、杖を頭上に掲げた。
 低く、小さな詠唱がクロムウェルの口から漏れる。
 詠唱が完成すると、クロムウェルは優しくウェールズの亡骸に、杖を振り下ろす。
 すると、冷たい骸であったウェールズの瞳が、ぱちりと開いた。
 ウェールズは、ゆっくりと身を起こした。青白かった顔が、みるみるうちに生前の面影を取り戻していく。まるで萎れた花が水を吸うように、ウェールズの体に生気がみなぎっていく。
 
「おはよう、ウェールズ」
 
 クロムウェルが起き上がったウェールズに挨拶した。
 蘇ったウェールズは、そんなクロムウェルに微笑み返した。

「久しぶりだね、大司教」
「失礼ながら、今では皇帝なのだ。親愛なるウェールズ」
「そうだった。これは失礼した。閣下」
 
 ウェールズは膝を着くと、臣下の礼を取った。
 
「きみを余の親衛隊の一人に加えようと思うのだが。ウェールズ君」
「喜んで」
「なら、友人たちに引き合わせてあげよう」

 クロムウェルは歩き出した。そのあとを、ウェールズが生前と変わらぬ仕草で歩いていく。
 その様子に、膝を着いた男たちは、畏敬と畏怖が混ざった眼差しを向けていた。
 ウェールズと共に歩いていたクロムウェルは、何かを思い出したかのように立ち止まると、顔を俯かせてブツブツと何事か呟いているワルドに振り向いて言った。

「ああ、そうだワルド君、安心したまえ。同盟は結ばれてもかまわない。どのみちトリステインは裸だ。余の計画に変更はない」
 
 ワルドは俯いたまま返事をしない。
 ワルドの様子を気にすることなくクロムウェルは話を続ける。

「外交に
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