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パンデミック
第四十六話「過去編・危機の到来」
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「ぅおおおおおらあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

周囲にブランクの怒号が響き渡る。感染者の頭を掴み振り回す。適合者だからこそできる豪快な戦い方だ。

「やれやれ……相変わらずすげぇ戦い方だな」

少し離れた場所で、フィリップはブランクの戦いを見ていた。
できることなら援護をしたいが、今の戦い方のブランクに近づけば巻き込まれる。

「フィリップさん」

ブランク隊の兵士の一人が、フィリップに歩み寄ってきた。

「本当に不器用な戦い方ですよね、ブランクさん」

「……?」

「あの戦い方、敵を多く巻き込めるだけじゃなく……味方を遠ざけるためでもあるんです。
味方の損害を最小限に抑えるために……」


それを聞いたフィリップは、自分の非力を嘆いた。


「そんな……俺達は、ブランクに守られるだけだったのか?」

「そうですね……なら自分達は、ブランクさんが戦い易くなるように、周りの敵を一掃しましょう」



非力な自分でもブランクの助けになりたい。

フィリップは武器を構え直し、感染者に向かって走り出した……
















「……………これで全部倒したな」


ブランクの足下には、突然変異種の死骸が2体。

「すげぇなぁ……ブランクさん」

兵士の一人が素直な感想を述べた。

まさに圧倒的だった。
感染者の頭を掴み、振り回す。それだけで突然変異種も感染者も巻き込まれ、死んだ。
関節が折れ、肉が千切れ、骨が砕け、死んだ。

ブランクは、ボロボロになった感染者の死骸を適当に放り捨てた。


「ブランクの方も終わったか」


感染者の死骸の山の向こうから、ヴェールマンが声をかける。その手には、血塗れの武器が握られていた。

「司令、ご無事でしたか」

「あぁ、フィリップ。ブランクも無事だったか」

「はい………しかし、残存部隊の兵数が……」

「あぁ……ずいぶん減ってしまったな………」


突然変異種6体の攻撃で、相当数の兵士が殺された。
その代わりに、日本支部への侵入や損害はほぼ無かった。


「司令、次の指示を」

タガートがヴェールマンに指示を求めた。
その時………





「………!!全員構えろ!また来るぞ!」


ブランクが突然叫び出した。

「えっ!?」

「どういうことだ、ブランク?」

「おいおい、何言ってんだ?ブランク」

「もう敵なんてどこにも………」


兵士達が一気にざわめき始めた。レックスもタガートも、ブランクの言葉が信じられなかった。
周囲の感染者も、突然変異種も、あらかた一掃した。周りにはもう何もいない。

しかし
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