過去の思い出
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「こっちは準備できましたー!」
シリカの声を聞いて、俺も目の前にあるスイッチに手を置く。
「押すぞー、せーのーで」
スイッチに力を入れると、がこんと音がして地面に埋まっていく。これで終わり、と。
初めてシリカとパーティを組んでから、もう一週間が経つ。
今日、俺はシリカとあるクエストをするために1層に来ていた。
そのクエストとは、ここ1層の東西南北に設置されたスイッチを押す、という単純かつ簡単なもの。なのだが、各場所に2つあるスイッチを同時に押さなければならないという内容のため、パーティクエストとなってるようだった。報酬は1層でもらえる物にしてはいい物なのだが、ある理由から余りこのクエストはプレイヤー達には人気ではない。
「よし、これで三つ目終了か。後一つだな」
俺とシリカは東から始めて、北を通り、今のが西だ。
「後、南でおしまいですね。でも、皆がやりたがらない理由がよく分かりましたよ」
シリカが苦笑しながらこっちまで戻ってきた。
このクエストが人気ではない理由、それはこの層の広さにある。まず、この層の直径はおよそ十キロメートルもあるため、とても時間がかかる。それに加えて、その距離をモンスターと戦闘しながら進まなければいけないのである。更に一人ではクリアできないという不便さもあって、このクエストは不人気なのだろう。
「一度街に戻ったり、一日過ぎたらまたやり直しだしな・・・まったく、面倒なもんだよ」
「確かに、初心者がやるなら赤字覚悟しないといけませんよね・・・」
肩に乗っているピナをなでながら、シリカは呟いた。
さてと次の場所に行きますか、っと・・・。
「シリカ、前方から敵。数は3」
索敵スキルに引っかかった情報をシリカに伝えると、一応俺も腰から短剣を抜く。
少しして、モンスターが前方の草むらから飛び出てくる。そのままモンスターたちの射程に入る前に、短剣スキル《トライエッジ》を放つと、モンスターに飛んで行った3つの緑の衝撃波は、そのままモンスターをポリゴンへと変えた。
「レイトさんが全部片付けちゃうなら、私に伝えなくてもよかったんじゃないですか?」
短剣を仕舞うと、シリカから軽い非難の声が飛んできた。
「俺がやった方が早いし、それに情報は一応伝えといた方がいいだろ?」
「それはそうですけど・・・」
シリカの頭をポンポンと叩いて、南に向って歩き出す。
それから、少し経ってシリカがふと思いついたかのように聞いてきた。
「そういえば、レイトさんってどこかギルド入ってたりしたんですか?」
「んー?、いやいや俺はギルドに入った事もないし、これからも入る事はないと思うけど?」
突然、変なことを聞いてきたシリカに問い返すと、シリカは首をかしげ
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