第十一章 追憶の二重奏
第一話 烈風
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足元がいることが問題であった。一見完全に勝負がついているように見えるが、実の所まだ勝負はついてはいない。迫る竜巻もそうだが、この状態であってもカリーヌは魔法が使える可能性があった。そこらのメイジならば魔法を放つよりも先に落とすことは可能であるが、先程カリーヌが放った魔法を見るに、この距離でも七対三というところだと士郎は判断していた。それに先程の魔法。似たような魔法は何度もみたが、威力が段違い……いや、桁違いであった。威力もそうだが、その発動の早さも桁が違い、一発でも当たればかなりの負傷が予想される。士郎がカリーヌを押さえ込んだまま動かないでいる間にも、竜巻は近づいてくる。
上と下。
視線が交差し合い。互いに相手の様子を伺う士郎とカリーヌ。
「逃げないのですか?」
「怖い人が睨んでいるんでな」
「……ですがこのままでは死にますよ」
「ふむ、それは確かに。だが、まあ大丈夫だと思うが」
「ほう。この状態で何か出来るのですか?」
見上げてくるカリーヌの目に、疑問の色が浮かぶ。問いに、士郎は軽く肩を竦めて見せると、顔を横に向けた。
「出来るというか、まあ、信じているということだ」
「信じる?」
「俺のご主人様を、な」
士郎の視線に誘われるように、カリーヌの視線が動く。横に、士郎が見る方向に。そこには、
「ルイズ?」
カリーヌの眉が微かにひそめられる。視線の先には杖を構えたルイズの姿があった。
何をするつもりだという疑問がカリーヌの脳裏に浮かぶ。魔法を使用するとしても、下手な魔法であれを壊すことは出来ない。それにルイズは自身の系統に目覚めて日が浅い。火の系統だと聞いたが、いくら破壊に特化した火の系統だとはいえ、生半可な魔法でスクウェアクラスの魔法を壊すことは不可能だ。
様々な思考が頭に過ぎる中、カリーヌの耳に、聞きなれないルーンの調べが届く。数多の敵と戦い、様々な魔法を見聞きしてきたカリーヌであったが、今耳にしているようなルーンを聞いた覚えはなかった。ルイズから聞いた火の系統でもなく、その他の水や風、土の系統でも聞いたことがない調べ。疑問の答えが出る前に、ルーンの調べは止み、魔法が完成した。ルイズは振り上げた杖を『カッター・トルネード』に向け振り下ろし、
「―――ッ?!」
背後に光が生まれた。
視線が届かない後ろ。カッター・トルネードが迫り来る方向から光が差し込んでくる。
突如生まれた光に思考に空白が生まれたカリーヌは、直ぐに気を取り戻したが、何が起きたかはまだ理解は出来てはいなかった。
「な、何が?」
「説明するよりも見たほうが早いな」
疑問の声に、士郎はカリーヌを押さえつけていた手を動かし、カリーヌが後ろを確
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