第十一章 追憶の二重奏
第一話 烈風
[17/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
し、その後ろに寄り添うように隠れるルイズを見たカリーヌの眉間に皺が寄る。
「……ルイズの教育が不十分だったと反省していましたが……どうやら原因はあなたのようです―――ねッ!」
「―――ッ!!」
カリーヌが顔を上げた瞬間、士郎に突きつけていた杖の先から荒れ狂う風の固まりが射出された。
士郎は背中に隠れていたルイズを抱き上げ後方に大きく飛び退く。地を蹴り宙に浮いた士郎の足先を風が通り抜ける。
―――桁が―――違うッ!?
足先を微かに擦った風の塊の感触に、士郎はカリーヌがこれまでのメイジと呼ばれる者たちとは別格だと知る。先程足先を通り過ぎた風。おそらく『エア・ハンマー』の魔法だろう。だが、まるで物質のように固められたそれは、他の者のソレとは一線を画っしていた。
砂煙を立てながら地面に降り立った士郎は、ルイズを後ろに下がらせると、デルフリンガーを構える。
「これはどういうことですか……」
「……あれを避けますか……やはり只者ではありませんね。……別に簡単な話です。どうやらルイズが国法を破るようになったのは、あなたによるところがあると見ました。ですので、ルイズを躾け直す前に少しやることが出来たということです」
「―――母さまっ!? そんなこ―――」
ルイズが否定の声を上げようとしたが、言い切る前にカリーヌの杖が振り切られた。
カリーヌの横を抜け、迫り来るのは先程ギーシュたちが乗る馬車を天高く舞い上げ破壊した竜巻。それが更に強化されたのか、倍近い巨大さに膨れ上がりながら迫り来る竜巻を見やりながら、士郎は肩に乗せたデルフリンガーに声を向ける。
「デルフ。あれ、ちょっとヤバイやつじゃないか?」
「おう相棒正解だ。ありゃただの竜巻じゃねえ。真空の層を練りこまれた竜巻―――『カッター・トルネード』だなありゃ。触れればスッパリと切り刻まれる恐ろしいスクウェアクラスの魔法だぜ」
「……ちょっとどころじゃないな……さて、それでは近づくのは得策ではないか」
「ならどうすんだよ?」
「ま、セオリー通りに行くか」
チラリと後ろを見た士郎は、身体を震わせるルイズの首根っこをつかみあげると、
「すまんなルイズ」
「ほぇ?」
気の抜けた声を上げるルイズをキュルケに向かって投げつけた。
「しっ、しろおおおおぉぉぉぉぉぉっ?!」
ルイズがロングビルにキャッチされるのを確認した士郎は、返す勢いで今度はデルフリンガーを竜巻に向け投げつけた。
余裕を見せていたカリーヌだったが、
「その程度でわたくしの魔法が―――ッ!?」
竜巻を貫いてカリーヌの足元に突き刺さったデルフリンガーに続く言葉を飲み込む。剣が突き刺さるというよりも、巨大な鉄槌が叩き込まれたかのよな轟音と振動が響き渡
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ