第十一章 追憶の二重奏
第一話 烈風
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「……っていうか、あたしとしては、何でロングビルがルイズの母親についてそこまで詳しいかが謎なんだけど……?」
「ま、昔取った杵柄と言うか……蛇の道は蛇と言うか…………詳しいことは勘弁して」
ジト目のキュルケから顔を逸らしたロングビルが、窓の外を眺める士郎の脛を軽く蹴りつける。
「……人が大変な目にあってるというのに、あんたは何無視してんだい」
「ん? ああ、すまないな。一応話は聞いていた。で、俺なりの結論だが……」
顔を窓から離して馬車の中を見渡すと、士郎は一度ゆっくりと頷く。
「そうだな。俺は一度しか顔を合わせていないし、話も特にしたわけじゃないが……見たところ未だに身体を鍛えているようだが、まあ、多分、ルイズの心配は的を外してはいなようだな」
「何でそんなことわかるのよ? 特に話したこともないんでしょ?」
「まあそうなんだが……なあロングビル」
士郎に話を振られ、ロングビルが首を傾げる。
「なんだい?」
「一つ聞きたいんだが、ルイズの母親……つまり先代のマンティコア隊隊長は、顔の下半分を鉄の仮面で覆ってたりするのか?」
「聞いたところによるとそうだね。鉄の仮面で顔の下半分を隠して、マンティコア隊の名のとおりマンティコアに乗り縦横無尽に暴れていたそうだよ」
「そう、か……」
ロングビルに頷いて見せると、士郎は顔をまた窓に向けた。視線は遥か向こう。微かに見えるラ・ヴァリエール城の尖塔に向けられている。
また窓の向こうに視線を向ける士郎の姿に、流石に不審を感じたキュルケが問いかけた。
「どうしたのよシロウ? さっきから窓の向こうばっかり見て。何か見えるの?」
何気なく口にした疑問。
特に変わった返事は期待も予想もしていなかったキュルケの耳に、
「―――ああ。鉄の仮面で顔の下半分を隠した騎士が、巨大なマンティコアに跨ってものすごい速度で近づいてきてるぞ」
「「…………は?」」
ロングビルとキュルケが気の抜けたような声を漏らした瞬間、ルイズは顔をバネじかけの玩具のように顔を上げると同時に席から立ちあがり、馬車の外へと出ようと動き出す。
だが、
「待て」
「きゅっ?!」
士郎の手が伸び、逃げ出そうとしたルイズの首根っこを掴み上げた。士郎はじたばたと暴れるルイズを手元に引き寄せる。
「ちょ、離してっ!? か、母さまがっ! 母さまがきちゃうぅ〜〜?!」
「いいから落ち着け。今出ても直ぐに捕まるぞ」
「でもっ、ここにいても捕まっちゃうでしょっ?!」
ぐるりと首を回して、ぷらんと猫のように持ち上げられたルイズが士郎を見下ろす。
「まあそうなんだが、もう少し待て」
ルイズを席に座らせると、士郎はぽんっ、とルイズの頭
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