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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
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、その能力の実態に興味を示した。
その翌日、急遽数人の教員たちで基本科目とISの知識に関連する試験を決行する。
そしてフタを開けてみると、一般教養においては日本の高校生の卒業レベル、ISの知識に至っては技術面での複雑な知識を除いてほぼ完璧と、教員たちの度肝を抜く結果となった。
ISの試験問題に一枚噛んだ拓海によれば、紅耀の知識は公認操縦者としての指標に近いものだという。つまりIS操縦を職業とする人間のそれに限りなく近いというのだ。
これを受けて、学園側も紅耀に詳しい身上を訊き出そうとしたが、当の紅耀が「先生に許可してもらわないと駄目」の一点張りで、取りつく島がないらしい。
結局、現在は『要観察』ということで1組で預かりつつ、学園側の沙汰を待つ状態である。
近いうちには実機操縦試験もおこなうらしく、運営側の判断次第では、特例によって最年少入学者となる可能性も視野に入っているらしい。
「ホント、ここ数日すご〜く“濃い”感じだったよなぁ」
「鈴の転入に始まり、部屋替え事件、お前の特訓、クラス対抗戦での無人機の乱入、んでこの前の試合にくーと師匠の移住……。濃過ぎるだろ……」
そんなことをぼやいていると、廊下の方から大きな靴音が響いてきた。
「ちょっと修夜っ、何のこの新聞っ!!」
見覚えのある少女が、扉を壊さんばかりの勢いで開きながら、大声で怒鳴り込んできた。
右手にはなにやら、赤い布に包まれた物を持っていた。
「な……なんだ、鈴?」
目を三角にしながらドカドカと詰め寄ってくる鈴の迫力に、一夏はとっさに身を反らせる。
そのまま鈴は一夏の机に辿り着くと、例の新聞を叩きつけ、思いっきり修夜を睨み付けた。
「たしかにあの試合で負けたのはあたしだけど、それでもこの記事は何なのよぉ!!」
鈴が激昂しているのは、先日の試合と、さらにその前の無人機の乱入に関する記事について。
何せ一面から三面のうち、記事の内容の六割ほどが修夜、二割五分が一夏についてで、当の鈴にまつわる記述はたったの一割程度なのだ。
ちなみに残りの五分は、黛の取材を通じての考察である。
書かれ方も淡泊で、彼女の大まかな経歴と試合の様子のみと内容は薄く、他の記述に負けて完全に存在感を失っていた。
「知るかよ、文句ならあの副部長に言ってくれ……」
眉をひそめながら、修夜は鈴を睨み返す。
「書いたヤツのこと知ってるんだったら、そいつの居場所を教えなさいっ!」
「知らねぇよ、二年生のいるフロアなんて行った覚えもないっての……!」
大層ご立腹な鈴と、不機嫌のただ中である修夜のガンの飛ばし合いに、一夏が「まぁまぁ」と宥めすかしながら割り込んでいく。
「ちょっと凰候補生、待って下さいよ!」
さらにそこに、少し小柄な灰色のパンツスーツを装った、ボブカットの女性が入ってきた。

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