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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
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もっともこんな無茶無謀を許容させた辺り、相当な影響力のある人物とのパイプを使ったとしか思えないが、それがどんなレベルの人物かはさすがに検討の付けようがなかった。
「まったく、帰ってきて早々にこれだからなぁ……。あ〜、もう、やっと大名行列から解放されたと思っていたのに……」
「入学したての頃よりはマシじゃん。あのときは寮を出てから帰るまで、先輩も同年代も関係なく、四六時中べったりだったし」
「そもそも、何の根拠があってこんなゴシップなんぞ……」
根拠なら大アリだとツッコミたかった一夏だが、言うと先日の二の舞を演じかねないので、愚痴る修夜に応じて苦笑するのだった。
「それより、“くーちゃん”の方はいいのか、修夜?」
「あぁ、“くー”ならあそこだよ……」
修夜の指差す先にあったのは、クラスの女子に囲まれる紅耀の姿だった。
「ホント可愛いよねぇ〜」
「ねぇねぇ、お菓子食べる?」
「うちの妹もこれだけ可愛かったらなぁ〜……」
黄色い声で騒がれる中心で、紅耀は相変わらず無表情で頷いたり、ときどき小さな声で受け答えしたりしていた。
修夜たちとの共同生活が決まったのはいいものの、修夜も一夏も日中は授業とISの自主練習で寮には不在だ。だからといって寮で留守番させっぱなしというのも、紅耀には良い影響ではない。
そのため千冬を拝み倒し、適当な預け場所が見つかるまで1組の教室で預かることにした。
女子が余計なことをしないか気に掛けつつ、修夜は紅耀の様子を窺う。
その佇まいは、もう既に妹を心配する兄として堂に入ったものだ。
「何ていうか、すっかりお兄ちゃんだな」
「まぁ、突然とはいえ、くーも師匠が拾ってきたからには色々あったんだろうさ。嫁候補云々は置いておくとして、家族になったのならそれ相応に接してやるのが当然だろう」
「色々ねぇ……。ホント、不思議な子だよな、くーちゃんって……」
一夏が呟いたのは、紅耀の“不可思議な能力”ゆえであった。
紅耀が1組で預かることになった初日、ISの教養科目で山田真耶が教鞭を執ったときである。
黙々と授業が進んでいく中で、ふと教室の隅に座っていた紅耀が手を挙げたのだ。
何のことかと思い、真耶も何気なく当ててみたところ、紅耀が思わぬことを口にした。
「……そこの解説、ちょっと違います」
目を丸くした真耶を余所に、そこから紅耀は立て板に水で、しかも教科書も無しに真耶の解説に訂正を入れていったのだ。
これにはクラス中ばかりか、授業の補佐に入っていた織斑千冬すら唖然とした。
ISの授業だけではない、数学の授業においても応用問題の例題をあっさりと解いて見せるという、十歳を過ぎた少女とは思えない驚異的な知識と教養を披露してみせたのだ。
この規格外ぶりは学園教員陣の話題となり、彼女のもう一人の兄とも言える拓海も
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