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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
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夏が返した返答は……、
「え……と、うん、毎日酢豚じゃあ飽きるから……唐揚げとか炒飯(チャーハン)とか、餃子(ギョウザ)もお願いしたいなぁ〜、なんて……」
さっきまでの雰囲気を台無しにする、実に残念なものだった。
何とも言い難い雰囲気の中で、ぎこちない一夏の笑い声だけがこだまする。
そんな一夏を、修夜は無言で廊下に引っ張って行き、そして――

「師匠」
「構わん」
「……んじゃあ……………、(ぎょく) と 砕 け ろ ぉ ッ ッ !!」

戸惑う一夏を、全力で蹴り飛ばしたのだった。
蹴られた一夏は美しい放物線を描いて五メートルほどふっ飛び、顔から着地して尻だけを突き上げた何とも無様な姿で倒れたのだった。
「あとで拾ってやるから、とりあえずはそこで反省してろ……!」
どかどかと足を踏み鳴らすように去っていった修夜は、そのまま保健室の中へと消えていった。
「……まぁ、こうなるよな……」
廊下の冷たさを感じつつ、大馬鹿者はぼそりと独語するのだった。

――――

西日に染まる学園外・第三外賓区画(だいさんがいひんくかく)
学園のある人工島には、学園とは別に外部の人間が居住する区画が存在する。
第一は国務大臣など、一級の賓客をもてなすための宿泊施設。
第二は学園で働く事務員や教員らが、家族ごと住み込むため居住区。
そして第三は、候補生管理官たちが仮の宿を得て各本国への連絡をおこなうための、いわば学園と外部の中立地帯である。
その区画のとある高級アパートの一室に、エッジの効いた眼鏡の女性が、コンソールの前で本国と通信を交わしていた。
「……以上が、今回の凰鈴音代表候補生に関する報告です」
女性――(ヤン)麗々(レイレイ)の報告は、角縁眼鏡の壮年の男性に伝えられていた。
〔ご苦労だった、楊管理官。内容については、少しばかり問題が多いものだったが、凰候補生がここまでの逸材に育ったのは、我々中華人民にとって大きな収穫だろう。何より彼女が男性操縦者二人と懇意だったことは、願ってもない僥倖だ。引き続き、凰候補生の活動を補佐し、有益な情報を収拾してくれたまえ〕
楊の上官と思しき男性は、そのまま通信を切るために自分のコンソールに手を伸ばす。
「お待ちを――」
だが楊はそれを牽制するように、上官に食い下がった。
「“アレ”の中身は、どうご説明して頂けるのですか……?」
楊の一言に上官は表情をこわばらせ、手を止めた。
〔……随分と、興味深い内容だったよ〕
動作から一拍遅れてから、上官は返事を返す。
「やはりご存じだったのですね……」
上官の動きを牽制するように、楊は鋭い視線をカメラに送る。
〔そんな顔をしたところで得にはなるまい、せっかくの美人が台無しじゃあ――〕
「長官」
のらりくらりと質
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