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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
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悟の造反を後押しするかたちで見つかった証拠は、すぐさまIS学園に報告され、さらに世界IS委員会のIS競技連盟を通じて中国IS競技会に通達された。
当の中国側はというと、「すべて清教官の独断、こちらは認知していない」と、あっさりトカゲの尻尾を切ったのだった。
これにより、清周英は懲戒免職の上に教員資格を剥奪され、さらに競技会からの永久追放が下されたのだった。
甲龍については、拓海と学園の技師たちによって不正部分を排除し、再調整したことで、今後も鈴の専用機として運用される。
「まぁ、因果応報だな。さしずめ手柄に目が眩んで、余計なことをやってきたツケだね」
しれっと言い放つ修夜の言葉を聞いた一同から、それ以上の話題の広がりはなかった。
各々の胸中は複雑だが、それでも降るべき罰は、然るべき者に下ったのだ。
「あ、そ……そうだわ……!」
不意に、鈴が何かを思い出したかのように、右手に持ったものを一夏の前に差し出した。
「はい、言ってたの」
「え?」
「酢豚よっ、あとそれから炒飯と唐揚げと餃子もっ!」
「あ……、あぁっ!」
「『あぁっ!』、じゃないわよぉ!」
照れ隠しに怒鳴り散らす鈴が持ってきたのは、平たく言えば中華弁当である。
試合終了後の対話で、一夏が鈴にリクエストしたものだった。
「お前……、アレだけひどかったのに、律儀だな……」
「うっ、うるさいわね……!」
「感心してんだよ、ある意味……」
余計な一言を言いながらも、あれだけひどい返答にもへこたれない鈴の根性に、修夜は呆れつつも素直に驚いていた。
普通ならあの状況は、“百年の恋も冷める”と言われて然るものなのに、だ。
「うん、ありがとうな、鈴!」
「べ……別に、食べたいって言ってたから、練習のついでに作ってみただけだし……!」
素直に喜ぶ一夏に対し、鈴の方は相も変わらずである。
「それじゃあ、ちょっと……」
「おい、さっき学食で食べてきたところだろ。腹壊すぞ?」
「いいじゃん、いいじゃん。ちょっとつまむぐらいさ」
修夜がたしなめるのも聞かず、一夏はいそいそと包みを広げ、弁当箱を開ける。
「おぉ……!」
するとそこには、箱の四割五分ほどを黄金色のチャーハンが、残りのスペースに酢豚・鶏の唐揚げ・餃子が敷き詰められていた。しかもレタスを間仕切(まじき)り代わりにするという、ちょっとした栄養バランスへの気配りもみせている。
「うわぁ、美味しそうですねぇ〜……」
隣にいた孫管理官も、思わず感嘆の声を上げた。
「……鈴のクセにやるな」
「ちょっとあんた、ケンカ売ってるの!?」
修夜もどこか悔しそうに唸るものの、言い方のせいで鈴は癇に障っていた。
「それじゃ、ちょっといただきま〜す!」
そういって一夏は意気揚々と箸箱から箸を取り出し、真っ先に酢豚を取っ
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