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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
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「もう、勝手に飛び出していかないでください。大事なお話の途中だというのに……」
見慣れない女性の存在に、修夜の一夏も疑問の色を顔に表す。
「……孫さん、少しは落ち着いてよ」
「え……、あっ、あぁ、申し訳ありませんっ!」
鈴を追うことに必死だったらしい女性は、姿勢と態度を改め、二人の目の前にたった。
「申し遅れました、わたくし(スン)梅花(メイファ)といいます。凰候補生をはじめとした候補生たちの管理官として、先日急遽着任した次第です。どうぞよろしくお願いします」
軽く頭を下げつつ、孫管理官は丁寧な挨拶をした。
「……って、あれ? 何故ここに男性が?」
「孫さん、だからこの二人があたしの言っていた、幼馴染で男のIS操縦者よ……」
「え……、えぇ、なんとっ!?」
少々素っ頓狂なリアクションに、鈴も思わずため息をついてしまった。
「もうしっかりしてよ、楊管理官はもっとちゃんとしてたわよ?」
「す、すみません、なにぶん不慣れでして、楊先輩のようには、まだ……」
おずおずと返答する孫に対し、鈴は呆れながらもそれ以上責めようとはしなかった。
「はじめてみるなぁ、代表候補生管理官って……」
「まぁ、本来は生徒の皆さん方の前に出ることは、滅多にありませんから」
はにかみながら一夏に答える孫を見て、ふと修夜が一言を口にした。
「孫さん、だっけ?」
「はい、なんでしょう?」
「急遽来たとか、楊って人がいたとかって言ってけど、その楊管理官はどうしたんだ?」
「え、あぁ、その……」
「……辞めたわ」
「え?」
「ちょっと、凰候補生……!?」
「昨日、家庭の事情で仕事をやめるって言ってたわ。ついでに清教官も、一緒に辞めさせられるみたい」
楊は代表候補生管理官を辞めていた。
同時に清周英も今までの放埓が祟ったのか、中国の競技会から強制帰還命令とともに、辞職命令を下されたのだという。
その代打として召喚されたのが、楊の部下で二年下の後輩である孫なのだ。
「清教官が辞めさせられるって、なんかやらかしたの?」
「……拓海がね、念のためにあたしの甲龍を調べさせてくれって言ったから、楊管理官も立ち会って色々調べてみたの。そしたら、出てきたのよ……」
「出てきたって……?」
「……甲龍のデータと、頭部分のインターフェイスから、催眠プログラムと脳波をコントロールする電極が……」
「えぇっ!?」
鈴からの言葉に、質問した一夏は驚きとともに身を乗り出す。
拓海が白夜と黛の掴んできた証言を基に、甲龍のプログラムと各パーツを綿密に検査したところ、録音データの証言と寸分たがわす、明らかな不正工作の証拠がそこにはあった。
立派な競技規約違反であり、どれ程の功績があろうととも、一発で懲戒免職となる重大かつ深刻な不正行為である。
楊の特攻覚
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