暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十六話『新たな約束』
[2/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
…」
「理由なら、あるだろ?」
一夏の言葉に、鈴の鼓動が一際高鳴る。
「そ、それってどう言う……?」
自分の顔が赤くなるのを自覚しつつ、鈴は思わずそう問いかける。
一夏の言う言葉の意味はなんとなく分かる。分かるのだが、それだけで納得はしたくない。
もっとちゃんとした、自分がずっと待ち望んできた【答え】が聞きたいのだ。
「お前さ、今日まで一人だけで、色々と踏ん張ってきたんだろ。あの約束を果たそうって思って、ここまで来たんだよな?」
「そっ……、そうだったかしら……?」
この場に来ても気恥ずかしさ勝ってしまうせいか、正鵠を射てもらえても返答をはぐらかしてしまう。
「分かるよ、鈴の負けず嫌いを一番近くで見てきたのは、俺と修夜だからさ」
それでも一夏は、にこやかに鈴に語りかける。
「俺さ、今はここで“千冬姉に追い付く”っていう目標のために、修夜たちの力を借りながら頑張ってるんだ。俺、物覚え悪いからみんなに迷惑かけてばっかりでさ、なかなか上手く言ってないんだよね。だからさ、お前が良ければ、これからは俺たちと一緒に、頑張ってみないか。そうすればきっと、鈴が取り戻したいっていうものも、別のかたちで手に入ると思うんだ。……どうかな?」
はにかんだ笑みで問いかける一夏に、鈴は思わず見入っていた。
そんな自分をすぐさま知覚し、慌ててしかめっ面を作って顔を背ける。
「な、なによいきなり……。そ、そんなにあたしと一緒に居たいワケ……?」
素直になり切れず、つっけんどんな言い方で返す。
「そうだな、これからはIS学園(ここ)で過ごしていくんだ。クラスは違うけど、これからはずっと一緒だ」
屈託のない笑顔で返事をする一夏に、鈴の胸はときめきを覚えるのだった。
「料理の方も、キツイ練習とかの合間とか見つけて、練習してたんだろ? 今度また食わせてくれよ。だからさ、鈴……これからは自分だけ
で背負うんじゃなくて、俺にもお前の悩みを背負わせてくれよ」
「一夏……」
一夏からの優しい言葉に、捻くれ気味な鈴も今度は正直に感動を覚える。
いつしか室内は、温かな雰囲気に包まれていた。
「よし、じゃあ決まり。明日からよろしくな、鈴。お前の料理、楽しみにしてるぜ!」
弾みをつけて放った一夏の言葉で、保健室は明るくなり、皆一様にどこか温かい気持ちになっていた。

だが――

「ちょっと待て、本題はどこだ……」
和やかに締められたと思った矢先、修夜は話の違和感を察して声を上げた。
本題とは言うまでもなく、【例の約束が一夏への告白だったと理解出来たか】である。
それが気がついてみれば、ただの良い話で終わっているばかりか、そもそも本題にすら触れられていないのである。
ぐっと睨みながら迫る修夜に、一夏は必死で笑顔を作ってとぼけてみせる。
そして一
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ