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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十五話『風光る』
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れは白夜の言う“うつけ者”、ひいては中国IS競技会にとっても好ましくないものに違いない。
だが証拠として提出するには、恐らくまだ弱い。写真を突きつけても、舌先三寸で躱されれば元も子もない。
そもそも、この中身が有効なのか否かも分からない。
白夜が投げて寄越したのも、どういう意図があるのやら。
(うろうろと考えていても仕方ないか……)
――分からないなら、実際に試してみればいい。
悩むだけより進むことの方が大切なのは、いつも自分に言い聞かせていることであった。
「先生、黛さん、この中身は拝聴させてもらっても構いませんよね?」
とりあえず実行者二人の許諾を得るべく、拓海は二人に向かって問うた。
「構わんよ。……というか、どうもISの専門用語のような話ばかりで、頭が痛くなりそうでな。餅は餅屋に頼もうと思うてな」
「私も横から聞いていたけど、何がなんだかさっぱりで……」
質問に対し、渋い顔を浮かべる白夜と、苦笑いする黛であった。
実は白夜、精密機械にはあまり明るくない。
パソコンでのネット検索やタブレットフォンの操作など、日常で使用する機械も大体の使い方を覚えているが、拓海のように本格的な使用は性に合わないらしいのだ。
器財の持ち主も、特ダネは掴んだものの、その中身が専門的過ぎて理解不能だったらしい。
「……わかりました、やってみます」
最初から当てにされていたことを知り、苦笑も浮かべながら、拓海は自分のコンソールの差し込み口に、ボイスレコーダーの端子を繋いだのだった。

――――

第一アリーナ、フィールド内。

雨上がりの日差しが差し込む絵画のような風景の中、少女は手に持った剣を杖にして寄りかかり、ただうなだれていた。
――負けた。
さんざん息巻いておきながら、定石も秘策も打ち崩され、最後はこの様である。
(ダサい……)
自分の情けなさが身に染みてくる。
周りは自分のことをどう見ているだろう。
やはり本省と同じように、口だけの愚か者と見下しているだろうか。
本省……そう本省の、この結果を見た競技会(うえ)はなんと言うだろう。
IS学園(こっち)に出る際に、今までの誰よりも成果を上げてみせると大見得を切った以上、初戦がこの様では本国に強制送還されることも考えられる。
そうなれば一夏と二人だけで過ごせたためしもなく、あの堅物女に一夏の隣を取られたまま、すごすごと退散することになる。
結局は何も成せないまま、敗者として去るだけだ。
(本当に、あたしってダサい……)
正直言えば、とても泣きたい。
でも泣いたらきっと、二度と立てなくなる。だから堪える。
今は敗者らしく、この場からさっさと消えてしまうのが筋というものだ。
気を抜けば崩れ落ちてしまいそうな体に鞭打ち、この場を去ろうとカタパルトの方を
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