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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十五話『風光る』
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なるために一夏と箒の部屋に殴り込みを仕掛け、力尽くで一夏と相部屋になろうと画策したからである。
だがこの件は、その行く末を決める一夏と鈴のクラス対抗戦の試合を、無人機の乱入によって中断されたことで、うやむやになっていた。
「この際だ、これからのことを考えて、いっそ謝っておいた方が身のためだぜ?」
「う…、うるさいわね……!」
割と真っ当な修夜からの意見だが、これについては鈴も“一点だけ”譲れないところがあった。
「そ、そもそも……、私の約束のこと、ろくに憶えてなかったくせに……」
「お前なぁ……」
少女は拗ねるように口をとがらせ、視線をベッドに落とす。
それを見た修夜は、渋い顔をして鈴を睨んだ。
約束――。それは『もし料理が上手になったら、毎日でも酢豚作ってあげる』という、鈴が中国に戻る前に一夏と交わした言葉だった。
文章自体は一夏には珍しくしっかりと覚えていたものの、肝心の内容の理解がなっていなかったために鈴が勢いで一夏の頬を張り、それにキレた一夏が鈴に向けて禁句を連発して危うく死にかける羽目になった。
たしかに非は八割ほどが鈴にあるが、勘違いと意地で鈴を怒らせたことについては、一夏にある程度の責めはあるのだ。
鈴がこだわっているのは、自分が淡い想いを寄せる相手からの、明確な返答なのだ。
「鈴」
ここに来て、一夏が不意に鈴を呼んだ。
それを聞いて、一同も自然と一夏のほうを見る。
「まずは……、あの晩、ビンタされてカッとなったせいもあるけど、さんざん文句言って悪かった、ごめん。それから……、約束のこと、間違えて覚えていて、悪かった、それもごめんな……」
真剣な顔で粛々と謝る一夏に、一同揃って目を丸くした。
「い……、いまさら謝られても、もう遅いんだからっ……!」
真っ直ぐに視線を向けてくる一夏に、鈴は減らず口を叩きながらも、赤くなった顔を逸らす。
「俺さ、改めてお前との約束のこと、ちゃんと考えてみたんだ」

一夏の一言に鈴が、いやこの場に居合わせる全員が目を見張った。

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