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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十五話『風光る』
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「試合時間、残り十三秒。シールド残量、八十六……。あの戦いでなら、まずまずかな?」
Bピットルームで試合を記録していた相沢拓海は、相棒である真行寺修夜の戦いを端的に評していた。
紆余曲折あった試合だったものの、最終的にはそれらしいかたちに落ち着いた。
(しかし途中での鈴の深層同調稼働(ディープシンクロドライブ)とは違う、最後のあの動き……。どうやら下手な小細工がなくても、そこに辿りつけたみたいだね)
Aモニタールームの一同のように、拓海もまた鈴が最後に見せた力に当たりを付けていた。
その顔は、どこか満足気にも見える。
「遅くなったのう」
不意に部屋の扉が開いたかと思うと、そこには先刻にこの部屋を出て行った仁が立っていた。
そして傍らには、どこかで見覚えのある黄色いリボンの女子生徒がくっついている。
「白夜先生……と、黛さん……でしたっけ?」
「あら、君は真行寺君の隣にいた、え〜っと……」
「修夜のISの調整を担当している、蒼羽技研(そうはぎけん)開発部主任の相沢拓海です」
「蒼羽……、あの今、赤丸急上昇中の総合技術企業“志士桜(ししおう)グループ”の……!?」
「はい、そこのIS技術部門で色々とやらせてもらっています」
一応、一夏のクラス代表就任パーティーで、二人は会話を交わしてはいたが、拓海自身が黛に自己紹介をするのはこれが初めてである。
「すごい! ちょっと、歳はいくつ? どうやって志士桜グループに入社したの? 蒼羽技研って謎も多いから、特に、特にその辺を詳しく……!!」
拓海の素性を聞くや否や、黛のジャーナリズムに火が付いたのか、捲し立てるように拓海に質問を投げかける。
その勢いに、さすがの拓海も少しばかり仰け反った。
「はいはい、その辺りで止めておけ。先ほど“大物を釣り上げた”ばかりじゃろう?」
だが白夜が黛を制止してかかると、黛も残念そうにしながらもすんなりと引き下がった。
「それで、先生は何をしてたんですか。試合の後半から姿がありませんでしたし、帰ってきたら黛さんを連れていて、しかも妙に仲が良さそうですし……」
居住まいを正しながら、拓海は白夜に率直な質問をぶつける。
白夜の方はというと、自分が元いた席に戻って呑み直そうとしはじめている。
ついでに黛も、白夜の隣にちゃっかりと陣取っていた。
「先ほど、鈴が妙な動きを見せたじゃろう。あれの“臭いの元”を絶ってきた」
拓海からの問いに、とてもざっくりとした返答をする。
そして拓海に向かって、なにやら棒切れのようなものを投げてよこした。
「これはUSBメモリー……、いや小型のボイスレコーダー……?」
「ちょ、ちょっと白夜さん……、もっと丁寧に扱ってくださいよぉ!?」
せっかく貯蓄をはたいて買った新型をぞんざいに扱われ、黛は思わずうろたえる。
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