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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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るものという認識であり、シルフィーほどに違和感は感じていない。
そうこうしているうちに、とうとう鈴の動きが完全に止まってしまった。
(本当にバテているだけ……?)
一見すると疲労によるガス欠だが、それにしては呼吸の乱れ方が変に大人しい。
もしかすると――
そう思い立ったシルフィーは、再び鈴を分析機能(アナライズ・スキル)透視(スキャニング)してみる。
(これって……!?)
分析結果には、再び猛烈な勢いで上昇する同調率の数値が、ありありと示されていた。
しかも先ほどよりも、さらに急激な上がり方をしている。
(おかしい、こんなの異常だ……!)
そして数値は鈴自身の状態にも現れはじめる。
眼はまどろんでいき、体は規則的に揺れはじめ、先ほどまでの威勢も急に失せはじめる。
(また、アレが来る!?)
それは先ほどの深層同調稼働の前段階と、ほとんど符合していた。
《マスター、あの子の意識をこっちに向けさせて!》
慌てて主人に事の重大性を伝えようと、妖精はとっさに叫んだ。
「どうしたんだ、シルフィー……」
《また来るんだよ、さっきの深層同調稼働が!》
「はぁ?」
《はもへもないよっ、さっきよりも異常な上がり方でどんどん同調率が上がってるんだよぉ!》
慌てふためく相棒の様子を見て、事態が尋常でないことを修夜は悟る。
またあの幽鬼が暴れ来る。
そう考えると、悠長に鈴を挑発している場合ではない。
止めなければ負ける。それどころか、手加減のないあのパワーでねじ伏せられたら、次に目を覚ますのは確実に病院のベットの上だろう。
だが止めると言っても、こちらが突っ込んでいくあいだに同調が完了すれば、危ういだけだ。
《マスター早くして、もう時間がないよ!?》
時間がない。
ならばこの場で出来る、鈴をかき乱す奥の手があるとするなら……。

「……あれだな」
少年に、神が閃きを与えた。

(さぁ仕上げです、目覚めなさい、私の最高傑作よ!!)
悪魔が王手をかけ、最後のひと押しを振り落とす。

それと同時に修夜も一息吸い、奥の手を放った――
「いい加減に起きたらどうだっ、そこの……」



「【 (あず) () 洗 い】!」



小豆洗い。
日本の妖怪の一種。
小柄で貧乏くさく、目玉のでかいオッサンの姿をしている。
小川で小豆を研ぐ音を立てて人の気を引き、驚かせる。
場合によっては、悪戯が過ぎて溺死させる。


「|《だれが……》」



「誰 が 小 豆 洗 い で す っ て ぇ ぇ ぇ ぇ え ッ ッ !?」



アリーナ中に響く、とても人間が出せるとは思えない怒声を小豆洗……もとい小柄な少女が、腹の底からぶちまけた。
あまりの迫力に、アリーナ中の観客が思
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