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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十四話『雲を裂いて』
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、確実な一手が、勝負を決するための一撃が――!
その考えはどうやら修夜も鈴も同じだったらしく、両者はもう何度目かの鍔競り合いを終えた瞬間に、アリーナ中空からフィールドのほぼ真ん中の低空へと、距離をおいて向かい合った。
「ねぇ、そろそろいいんじゃない……?」
鈴がぶっきらぼうに問いかける。
「そうだな、もう時間も三分と無いしな……」
修夜もそれに短く答えると、二人はさらに距離を空けて向き合う。
そして鈴も修夜も、無言のまま構えなおし、じっと睨み合う。
これ以上、言葉はいらない。
必要なのは“勝つ”という意志だけだ。
ただ強く刻む、勝ちたいと、勝ってみせると、その心に強く……。
賑わいを見せていた観客席も、また緊張感で静まっていく。同時にアリーナの内側に向かって、一種の熱のようなものが集中しはじめる。
戦場の二人はまだ睨み合ったまま、微動だにしない。
先に不用意動きた方が負けるのを、修夜は武人の経験として、鈴は直感として捉える。
呼吸を整え、刃の柄を握り締め、ただ飛び出す一瞬を待つ。


――ファン! ファン! ファン!

「「 ! 」」


試合終了の一分前を告げるアラームが響くと同時に、両者は弾丸のように飛び出していく。
まるで溜まりに溜まったアリーナの熱が、一気に噴き出すのを表すかのように。
まずは一合、それから離れてフィールドを旋回して二合で、そこから両者ともフィールドを周回する。

龍は飛ぶ、白い獅子に自分のすべてを叩き付けんと。
もっと速く。
もっと鋭く。
もっと力強く。
もっと、もっと。
(もっと、もっと、もっと……)
一瞬でいい、相手よりもより真っ直ぐで純粋な力を――

「あたしに力を貸しなさい、甲龍(シェンロン)っ!!」

瞬間、少女の叫びとともに、鋼鉄の龍はさらに加速し、フィールド中央へと翔けた。
その軌跡は一筋の淡く青い光の尾を発し、白い獅子に向かって猛然と向かっていく。
甲龍の変化に観客席の一同が驚きどよめく。
「あのエネルギー残滓は……!」
「織斑先生、あれって……!?」
「……あぁ、今度こそ間違いない」
Aモニタールームの一同は、鈴の変化に“ある現象”の名前を想起し、目を見張った。
そして鈴自身は、今までにない感覚を味わっていた。
高速で飛んでいるのに、すべてをはっきりと認識できる。
思考は澄み切り、ISパーツを体の一部のように感じる。
イケる、これで勝ってみせる。
握る刃に力を込め、修夜を見据えて突撃していく。


尋常でない鈴の動きに驚きつつも、修夜はすぐさま彼女の動きに応じ、対角から中央への突撃を開始する。
「いくぞ、シルフィー!」
《『プログラム<SO>』承認、PIC出力上昇を確認!》
少年は相棒を呼び、相棒はその意を汲ん
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