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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十三話『颯(はやて)』
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る感覚で肺が潰されそうになる。
ISがなければ、死んでもおかしくはない。
《マスターっ!!》
悲鳴を上げる相棒の声で意識は保ったが、
《マスター、避けて!!》
警告から視線を戻すと、不可視の弾丸の雨が容赦なく修夜に襲いかかった。
壁に張られたバリアーシールドごと蜂の巣にせんと、死の雨が修夜に横殴りに降りかかる。
もうもうと上がる煙と蒸気で隠れ、修夜の姿が見えなくなっていく。

――まるで公開処刑だ

誰かがそう呟き、皆がその光景に青ざめる。

数十秒にわたる銃殺刑を終え、鈴はその場で無感情に様子を窺う。
その仕様はまるで、任務を達成した殺し屋にさえ見える。

終わった……
あとは駄目押しに最後の一撃を見舞うだけ

勝利を確信したか、徐々に鈴の意識が元に戻りはじめていく。
雨の歌声だけが、フィールドを包んでいた。


「……!?」


モニター上の修夜のシールドエネルギー――【116】

鈴が驚愕した一瞬だった。
煙の向こう側から、巨大な刃が一直線に鈴へと飛んでいく。
突然の出来事に、慌てて臨戦態勢に戻る鈴。
とっさに弾いてみたそれは、先ほどまで修夜が振るっていた黄昏色の大剣だった。
何故こんなものが――
そう思ったのが命取りだった。

「はぁぁぁぁぁぁあああっ!!」

全速力で飛びかかるは白亜の弾丸。
わずかな隙をついて、死んだはずの獅子が反撃の狼煙を上げんと迫り来る。
逃げなければ。
そう思ったところで時既に遅く、相手は自分の懐にもう潜り込んでいた。
右手には黄昏の外殻を持つ必殺の鉄杭。
それは既に、自分の腹部に据えられていた。

「――ッッッ!!」

耳をつんざく炸裂音とともに、少女の細い胴体にかつてない重撃が捻じ込まれる。
内蔵を潰し、脊柱をへし折り、呼吸さえ押し潰すような容赦ない一撃。
衝撃は腹を突き抜けようと、彼女の小さな体を押し、何メートル、何十メートルも吹き飛ばしていく。
赤紫の機影はフィールドの半分ほどを飛んだ後、そこで失速して地面に激突する。
そして幾度か地面をはね回って後、衝撃は鈍痛を残して逃げて行き、彼女の体はようやく飛ぶのをやめた。

地面に突っ伏して苦しげにせき込む鈴を、パイルバンカー(クラッシュアーム)を提げた修夜が近付いてきて見つめる。
「どう、して……!?」
鈴は潰れた呼吸で声を絞り出し、修夜に問いただす。
「煙の多さに気が付かなかった、お前の判断ミスだよ、鈴」
《エアリオルの自律ユニットのシールド(メインシェル)を舐めないでよね!》
修夜が話しはじめる横で、その相棒が得意気に機能を自慢してみせた。
「エアリオルの自律ユニットには、エネルギーシールドを展開する機能が備わっていてな。衝撃砲の連射が来たときに、と
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