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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十三話『颯(はやて)』
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教員である清周英は、涼しげな顔を喜悦に歪ませるのを抑えられずにいた。
しかしそれは、決して鈴の逆転劇そのものを喜んでいるのではない。
(まさか“専用機に切り替えて”も、ここまで通用するとは……!!)

この男、鈴の戦いではなく【自分の功績】に酔っているのだ。

鈴に『深層同調稼働』の“裏技”を仕込んだのは、何を隠そうこの清である。
どういう訳かこの男、ISのメカニックや性能調整にやたらに詳しく、また人心を惑わすことに関しては天賦の才を持っていた。
中国IS競技会がこの男を訓練学校の教員に引き込んだのは、並の研究員では及ばないほどのISへの博識と、目ぼしい才能をいち早く回収するスカウトマンのとしての技量、そして訓練生の心理を自在に陽動する手腕を見込んでのことである。
(凰の性格もさることながら、やはり自己催眠と窮境心理で“ISをある程度は騙せる”……!)
清が鈴に仕込んだのは、一種の【自己洗脳術】である。
ISは操縦者の精神状態を読み取り、それを稼働に反映させる。
操縦者が操作に対して、雑念なく一点に集中できれば、その分だけ稼働は機敏になる。
本来の深層同調稼働に一定の年季が必要なのも、ISでの操縦に対する慣れと、経験による冷静かつ強い集中力を要するからだ。
そこでこの男は、催眠術による雑念の抑制と、人が窮地に立たされたときの爆発的な集中力に着目し、自己暗示を利用した洗脳術を編み出したのだ。
これによって精神面を自己制御することで、ISに余計な心理への詮索を中止させ、さらにISに対して“操縦者が深く集中している”という誤認情報を与える。そうすることで精神統一状態を欺瞞し、ISから深層同調稼働の力を引っぱり出させているのだ。
だがリスクも大きい。
まず追い込まれた際の心理を利用するため、使えるタイミングどうしても窮地に限られる。
また自己暗示をかけるためにも、ある程度の時間が必要なため、使う際に隙を晒すことになる。精神が乱れて集中力を欠いていても、発動することはできない。
なによりこの裏技は、凄まじく体力と精神力を消耗する。
ISの深層同調稼働は、その逸脱した力ゆえに普段から掛かる肉体への負荷を増加させてしまう。
そこに加え、無理矢理トランス状態を生み出すために、精神に諸々の負荷が一気に掛かり、使用者の精神力を著しく消費することになる。
そもそも追い詰められてからの発動させるため、既に体力も精神力も消費した状態から使わなければならない。
多用するとIS操縦者としての寿命を縮めかねない、まさに諸刃の剣なのだ。
(今回は特に、深く同調が出来ているようですね。これはいいデータが取れそうです)
なのに清がこの光景を見るのは、既に一度や二度という回数ではなかった。
(しかし、彼女はこの方法に向いていますね。あの“短絡的”
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