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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十三話『颯(はやて)』
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?!」
修夜は鈴の執拗な追跡を避けつつ、事情を察しているらしい拓海に問いただす。
〔おそらく、【深層同調稼働(ディープシンクロ・ドライブ)】だと思う〕
「ディープ……なんだと?」
〔ザックリいえば、ISと操縦者の精神が極限状態まで同調している状態だよ。普段のISの反応値を大幅に上回る戦い方が可能になって、普段では不可能な動きやパワーを、一時的に捻りだすんだ〕
「要するにパワーアップ中ってことか?!」
〔有り体に言えばね。ただし本来、意図的にやるにはそれ相応の年季も必要だ。いくら鈴にすごい才能があったとしても、ものの数ヶ月で到達できる境地じゃない〕
IS操縦にとって、経験に優る学習はない。そしてその経験が、ISと操縦者に新たな可能性を与えてくれる、最も遠く限りなく近い方法だ。
もちろん才能で経験値の不足を補うことはできるが、専用機を扱いはじめて数ヶ月ほどの人間が易々と辿り着くものでもないらしい。
「……“裏がある”ってか?」
〔そこは何とも……〕
拓海と通信しつつ、必死に鈴からの猛撃を躱し続ける修夜。
完全に形勢が逆転するなかで、修夜は鈴の変貌に焦りながらも、自分の中で言い難い苛立ちを募らせる。
(なんで……)
修夜が睨むその先には、人形のように無感情な顔で戦う、人間らしさを失くした少女がいた。

(なんでそんな虚しい顔で戦ってんだ、お前は……!!)

――――

第一アリーナ、Aモニタールーム。

鈴の豹変ぶりに、室内にいた三人は凍りついたように動きを止めていた。
「……楊管理官、あれはなんだ?」
辛うじて冷静さを保った千冬は、事情を知るであろう楊に問いかける。
ところが、この中で一番鈴の変貌に戦慄を覚えていたのが、他ならぬ楊だった。
「なんなんですか、あれは……!?」
「楊管理官?」
「あんなもの、私が本省から送られた資料には一切ありませんよ……!?」
「なんだと?」
明らかな動揺とともに、手元の大型タブレットで楊は必死に資料を検証する。
しかしながら、そこには楊の求める解答はなく、ただいたずらにページだけがめくられていく。
「楊管理官、一体どういうことだ?」
千冬が再度問いかけるも、混乱する楊はタブレットの視線は画面を往復するばかりで、耳には届いていなかった。
「楊麗々候補生管理官!!」
雷鳴のような一喝が、モニタールームを震わせた。
千冬の大喝が部屋中に響くと、あまりの音声(おんじょう)に楊はおろか、近くにいた真耶まで目まいを起こして頭をふらつかせる。
だがこれで楊も混乱から脱し、千冬の方に向き直った。
「楊管理官、凰のあれはなんなんだ?」
「……分かりません」
千冬の改めての質問に対し、楊は振り絞るような声で回答した。
「本省から送信されてきた凰候補生のデータに、あ
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