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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十三話『颯(はやて)』
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な……なんで、知ってんのよ……!?」
「その犬が行方不明になって、『プクがどこにもいないの〜』って、半ベソかいて泣き付いてたのはお前だろ」
「あの子の名前は『(ファ)』よっ!!」
段々と口ゲンカの内容は、非常にプライベートかつ【どうでもいい】方向に走りはじめる。
本来、長時間試合が戦闘行為なしに停滞すると、審判から注意勧告が入るのだが、その判断とアナウンスをすべき放送室でさえ、訳の分からない雰囲気に唖然し、すっかり仕事を忘れていた。
観客席などは、もうすっかり二人のペースについていけなくなっている。
「あぁ、半ベソって言えば、小学校の修学旅行で広島に行ったときに、資料館の後半で泣きながら猛ダッシュしてたよな、お前」
「ちょ……、なに言いだすのよ……!?」
「そのあとの宮島で、鹿に追い回されて半ベソかいてたし」
「黙りなさいよ、黙らないと今すぐ叩き斬るわよっ!!」
「鹿といえば、中学の修学旅行でも、奈良で鹿に追い回されてたよな。さっさと鹿せんべいを手放せばいいものを……」
「黙りなさぁぁあいっ!!」
恥ずかしい過去を大衆の面前で暴露され、たまらず鈴は修夜に突っ込んでいく。
しかし直線的過ぎたせいで、あっさりと攻撃を読んで回避され、距離を取られてしまう。
「それと家族へのお土産を買いすぎて、集合時間に遅れた上に先生に雷落とされたよな」
「だから……黙れって、言ってんでしょうがっ……!」
力一杯振るった双天牙月を地面から引き抜きながら、鈴は未だに減らず口を叩き続ける修夜に鋭い眼光を向ける。
「そういえば雷も苦手だよな、お前。近くで鳴るとすぐ物陰に隠れて縮こまるし」
「黙れ黙れ黙れぇ!!」
再び双天牙月を構えて突っ込んでいくも、やはり怒りで動きが単調になり、これも易々と躱される。
「そのくせ、弱いヤツが不良に絡まれてると、後先見ずに突っ込むし。それでこっちが、何度冷や汗を掻かされたことやら」
「いい加減にしなさいよっ!」
今度は龍砲による拡散砲を放つが、これも狙いがバレバレで難なく回避されてしまう。
「地元の番長に突っかかりに行ったときには、さすがに俺も一夏も固まったわ。ケンカ売る相手考えろよ、マジで」
のべつ間もなく、赤っ恥の数々を垂れ流していく修夜を、暴露された鈴は必死に止めようと追い回す。
「ケンカ売る相手といえば、ちふ……織斑先生にも――」
「黙りやがれっ!」
「間違って師匠の酒飲んで、幼児退行したり――」
「殺す殺すころすコロすコロスッ、殺す!!」
「国語の故事の授業で、本場の人間にしてエライ勘違いを――」
「だぁまぁれぇぇえっ!!」
「あ、そういえば――」
「このこの、このぉっ!!」
修夜が喋れば鈴が怒りにまかせて突撃し、突撃するとすぐさま回避される。
黙っていれば手に汗を握る攻防だ
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