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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十二話『電(いなずま)』
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大剣が、一振り握られていた。
煙の外から勢いよく飛んできた修夜に押され、鈴も防御しながら反対側へと押し出される。
「そぉら!」
鈴を突き離して間合いを調整すると、修夜は逃げる暇を与えず大剣を振り上げて突っ込んだ。
黄昏色のフレームを持つ片刃の大剣が、小柄な少女に向けて容赦なく振り下ろされる。
鈴も体勢を崩しながら、とっさに双天牙月を構えて合わせに行く。
がちん、とまた鋭い音が雨の中で響き渡る。
一合、二合、三合と太刀筋を重ね、四合目で今度は鍔競り合う。
よく見れば修夜の大剣は、刀身が切っ先以外レーザーの刃であり、競り合いとともに火花のようなものが刃のあいだで弾けていた。
徐々に膂力の差からか、鈴の刃の方が押されはじめる。
甲龍自体はパワータイプであり、本来なら汎用型のエアリオルにパワーで劣る道理などない。
だがISは操縦者のメンタルによって、そのポテンシャルを変えるデリケートな機械でもある。
(なんで、なんであたしが……!?)
何故に代表候補生の自分が、自分にも操縦歴の劣る人間に押されているのか。
疑問は焦燥となり、焦燥は苛立ちとなって心に積っていく。
鈴の内心は今、修夜に迫られている現実を認められず、本来の力を鈍らせていた。
この緩みを、武の上で先を行く修夜は見逃さなかった。
「おらっ!」
競り合った刃にさらに力を込め、勢いに任せて鈴を突き飛ばす。
強引なやり方に鈴はもんどりを打ちながら後ろに飛ばされ、高度を下げさせられる。
「いくぜ、シルフィー!」
《了解、『プログラム<SO>』承認、PIC出力上昇を確認!》
シルフィーに命を下したのち、修夜は大剣を脇構えにし、そのまま鈴へと突撃する。
鈴も必死に体制を戻そうとするが、回転しながら飛ばされた反動で少し目を回し、動きが鈍くなっていた。
隙だらけの鈴に、獲物に“飢えた獅子の歯牙”が容赦なく襲いかかる。

「四詠桜花流大太刀之弐(おおたちのに)……、隻 刀 螂(せきとうろう)!!」

脇構えを解いたと同時に切っ先を後ろに流し、そこから体を大きく捻って回転させる。
回転はそのまま振り抜く力に変えられ、勢いのまま鈴へと直撃。
胴体を輪切りにせんばかりの強烈な一刀が、豪快に鈴を地面へと叩き伏せた。
衝突地点で大きく飛沫が上がり、鈴も水切りの石のように跳ねてフィールドを転がっていく。そしてAカタパルトとDカタパルトの延長が交差する位置で、雨で滑りながら止まった。
止まったのを確認し、修夜は高度を下げてゆっくりと鈴に近付いていく。
両者の距離、およそ十五メートル。
あいだには雨粒のカーテンが走り、見方によっては何かの絵画のようにさえ見える。
地面に倒れた鈴を、修夜は中空から見下ろす。
「どうした、もうギブアップか?」
煽るような言い方で、修夜は
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