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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十二話『電(いなずま)』
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は既に遅く、鈴の周囲はあっという間に煙に呑まれてしまった。
少女の視界に映るのは、煙で白く濁った空間だけである。
(くそっ、どこにいるのよ……!)
心中で悪態をつきつつ、四方八方を警戒する。
ハイパーセンサーでレーダーを使おうにも、レーダー画面は不自然な砂嵐が走って途切れ、使いものにならない。
(【索敵妨害煙幕(スモーク・ジャマー)】……、味な真似してくれるじゃない!)
この煙幕の成分には、空気に触れるとイオン分子を発し、それによって微弱な電磁波を生じさせる特殊物質を混ぜてある。単なる目くらましだけではなく、敵のレーダー機能も奪う優れものだ。
目の前は白煙、レーダーは機能を麻痺させられ、尋常の手では太刀打ちは不可能となった。
(……だったら)
一計を案じた鈴は目をつむり、自分の耳に意識を集中させる。
するとハイパーセンサーは、雨音以外の周囲の音を拾い上げ、鈴の聴覚を刺激しはじめる。
目が見えないなら、耳を使えばいい。
また不用意に飛び出れば、あっという間に相手の手の内に落ちてしまう。だから留まる。
一夏との試合で、砂煙の中から奇襲を受けた経験が、この対策を講じさせた。
それも直感で、だ。
研ぎ澄まされた聴覚が、煙の外からの音を拾いはじめる。
煙の外では、修夜が自分の周囲を旋回して突撃の瞬間を見計らっているらしく、機体が飛びまわる音がぐるぐると回っている。
(まだ、まだ……)
さらに精神を研ぎ澄まし、わずかな変化さえ漏らさず捉えようと試みる。
時間が一気に濃縮され、一秒が何倍にも伸びていく。
不意に、スラスターの音が遠ざかり、続いて自分に向かって“何か”が飛んで来る音を捉える。
(四時の方向……!)
かなりの速度で飛んでくるそれに対し、鈴はすぐさま双天牙月を呼び出し(コール)して構える。
(輪切りにしてやる!)
音と速度から、直感でタイミングを計っていく。
少女の直感が、そのときを捉えた。
「そこよっ!!」
四時の方向に振り向きながら、その体の捻りを利用して一気に二つの刃を振り抜く。
手応えあり。
だが、彼女が切ったものは……、

――ぶわっ……!

「!?」
再び自分の視界に、猛烈な白煙が立ち込める。
飛んできたのは、先ほどと同じ煙幕弾だったのだ。
より至近距離で炸裂したため、煙の勢いも凄まじく、鈴は思わず怯んでしまう。
そのとき、本来聞こえるべき“音”が、勢いよく三時時の方向から突っ込んできた。
(しまった!)
二度目の爆発から自分の向いている方向を読まれ、接近を許してしまう。
急いで体勢を立て直し、牙月を構え直す。

――がちんっ!!

二つの刃と、一つの大きな刃がぶつかり、鋭い音を響かせる。
突っ込んできた修夜の手には、先ほどと変わって自身の身の丈に届きそうな
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