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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十二話『電(いなずま)』
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、画面越しのBモニタールームの者も、一様に言葉を失っていた。
誰かや何かが、どうといえる話ではない。
強いて言うならば、人の性格と時の運の折り合いが悪かった。
白夜の言を借りるならば、それこそ世間には“よくある話”である。
だからこそ余計に、釈然としない思いが各々を苛んでいた。
その中で、白夜は再び言葉を発しはじめる。
〔あの子がどれほどのものを背負って、あの場で戦っているかは、はっきりとは分からん〕
それでも、親のケンカは子供にとって大きな傷跡になる。
それが今の鈴の歪みの土壌になっている――と、白夜は自分の考えを明かした。
果たしてこれが、鈴の真実にどれほど近づけたかは分からない。
ただ皆が沈痛な面持ちで言葉を失う中、
(……なら、鈴の向こうでの生活に、何かがあった。そういうこと、なのか?)
蒼羽技研開発部主任は、誰よりも先に思考を走らせていた。

――――

第一アリーナ・フィールド内。
小雨が降り続く中、二つの球体が雨を弾きながらダンスしていた。
一方の白い装甲は白刃を握って相手を追走し、もう一方の赤紫の装甲は肩の砲身から衝撃力の弾丸を撃って牽制し続ける。
「どうした、正面から来いよ!」
鈴からの砲撃の嵐を、修夜はアタックブースターによる瞬間加速で巧みに掻い潜る。
「うっさい!!」
一方の鈴は修夜を懐に入れまいと、龍砲を連射モードで放ちながら逃げ、必死に付き離す。
見えざる衝撃の雨も、砲口の位置と自分の位置さえ計算に入れれば、修夜にとって避けるのは難しいことではない。
前の試合では、一夏も徐々にコツを掴んで避けていた。修夜はこのときに、観戦しながら自然と龍砲の特徴を頭に叩きこんでいたのだ。
(……ったく、このままじゃ埒が明かない!)
衝撃の雨を右に左に潜りつつ、逃げる鈴に修夜も必死に食らいつく。
素直に銃撃戦で応じれば済む話だが、修夜の心情はもうその位置にはない。
(ぶつかって勝つ……!)
試合以上に、修夜は鈴と正面を切って戦い、ぶつかり合うことを望んでいた。
修夜にとっては、それが自分と鈴の戦い方だから。
自分の望む戦いを得るべく、ここで修夜は隠していたカードを切る。
「シルフィー、スモーク!」
《了解!》
短く命令した修夜に応じ、シルフィーは左肩から樽状の物体を現出(セットアップ)する。
そのまま樽状の物体は、ロケット弾を砲身から鈴に向けて連射した。
「そんなもの……!」
勢いよく近付く弾丸に対し、鈴は龍砲をすばやく拡散モードに切り替えて迎撃する。
砲身の周辺の空間が歪曲し、不可視の衝撃の壁が前面に展開される。
ところが――

――ぶわっ……!

弾丸は撃ち砕かれると同時に、あり得ない量の白煙を一帯にぶちまけた。
(しまった、煙幕……!?)
気付いたときに
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