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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十二話『電(いなずま)』
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れて、泥まみれになって、泣いて終わっていくのか……?

――いやだ

もう嫌だ。
もう沢山だ……!
誰かに見下されるのも、夢を壊されるのも、無力に泣いて悔しがるのも!!

「どうした、もうギブアップか?」
黙れ

「俺を土下座させるんだろ」
「あの気迫もハッタリか?」
うるさい……

「いつまで這いつくばって不貞寝していやがるんだ」
……偉そうに説教して、なんなのよ。

いつもそう。
いつも、いつも、いつもいつもいつも……!!
いつだって、あたしのこと分かってるつもりで口を利いて、さんざん文句付けてきて……!

この前だってそうよ。
一夏と一緒に居たいって思って何が悪いのよ。
一夏に馴れ馴れしい女がいて、それに腹が立ってどこがおかしいのよ。

クラス代表だってそうよ。
本省の訓練学校だったら、あんなの日常茶飯事だった。
実力のある人間だけが、自分の理想と夢を追うのを許される場所だった。
実力がないヤツは、ただ引きずり落とされて道を絶たれるしかない。
勝ち続けるしか、理想を追う手段なんてなかった!

そうよ、あたしは負けない……!

負けてたまるか
落ちてやるもんか

勝ってやる、勝ち取ってやる!!

また【あの場所からやり直すために】――!

――――

第一アリーナ観客席。

天井いっぱいの大画面で二人の試合が移される中、開いている席にも座らずに入口で立っている人物が一人いた。
「ねぇ、あの人誰だろう?」
「ちょっとイケメンじゃない、何かステキ〜!」
近くにいる女子生徒たちは、試合の様子もそこそこに、入り口で佇むその“男性”に対して、小さく黄色い声を上げていた。
体の線は細く、背丈は百八十センチメートルを超えているだろうか。
黒いスーツに深い紫のネクタイ、手には綿手袋をはめており、髪はきっちりとオールバックで固めている。
顔は細面で整っており、特に切れ長の目とその視力を補う銀縁の眼鏡が、男にスマートで美麗な印象を与えていた。
その涼やかな目が、雨天の下でぶつかり合う少年少女の戦いを見据えている。

(どうやら、調子はよくなさそうですね、凰)

男の名は清周英(チン・ジョウイン)、鈴の訓練学校時代の指導教官である。
中国では男であろうと、有能であれば人材にとして訓練学校の登用し、自国の強化に充てることを普通におこなっている。
清は訓練生のマネージャー的な立場にあり、訓練生の生活や精神面を指導している。
先日の無人機騒動では、航空便の発着が遅れて会場にはいなかった。
それゆえに今回の修夜と鈴の戦いは、清にとっては願ってもない僥倖だったのだ。
「……さてどうしました凰、本省でのあなたなら【ここからが本番】でしょう?」
清は雨の中で倒れる鈴
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