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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十一話『雨』
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妖精は上空からの第三者の介入を、いち早く察知した。

――ぽつり

――ぽつ、ぽつ

――ぱら、ぱらり

シルフィーが察知して間もなく、天からは無数の雨粒が降り注ぎはじめる。
やがて辺りは小雨となり、修夜と鈴はその変化に自然と体の動きを止めていた。
「とうとう振ってきやがったか……」
大方の予想が付いていた修夜に、さしたる驚きはなかった。
《マスター、耐水フィールドと眼前電子画面(バイザービューア)を用意するね》
そういうと数秒後に、シールドバリアーが一瞬だけ擦りガラスの用に曇ると、次には修夜の目を覆うように小型の中空電子画面が出現する。
外から見ると透明ない球体が、修夜をすっぽりと包んでいるように見えている。
「蒼羽技研での人工雨の実験が、もう役に立つとはな」
修夜の目を覆う画面は、シールドバリアーを伝う雨を視界から外し、操縦者により快適な操縦をおこなわせるための機能である。
そして耐水フィールドは、ISのシールドバリアーが雨に反応して、余計な機能を働かせないようにするための防御策の一つである。
小雨程度はISにとってさしたる苦難ではないものの、相手は機械や電子の天敵の水である。万全を期したISのシールドバリアーであっても、何かしらの拍子に予期せぬ事態が起きないとも限らないのだ。
実際に大雨の中で耐水フィールドなしでの戦闘実験をおこない、雨粒の二十パーセントがシールドバリアーを通過し、シールドエネルギーの消耗が普段以上に激しくなった例が、世界で十数件ほど報告されている。
修夜の画面越しには、Aモニタールームからの指示を得ながら、こちらと同じ作業をする鈴の姿があった。
しばらくすると、鈴の方もシールドバリアーが一瞬だけ曇り、それが晴れると目の周りを眼前電子画面が覆っていた。
周囲では場内アナウンスが鳴り響き、アリーナがその屋根を次々と下ろしていく。
そうして白い環状のチューブの真ん中で、二機の機影が雨に打たれるという、少しばかり殺風景な光景が出来上がったのだった。
〔修夜、聞こえるかい?〕
Bモニタールームから、開放回線(オープン・チャンネル)で拓海が通信を入れてきた。
「どうした拓海?」
〔とりあえず、現状なら試合は続行ってことを、一応伝えておこうと思ってね〕
一応の報告として、拓海は修夜に試合継続の一報を伝える。
「……まぁ、この程度の雨で中止にされちゃあ、こっちも気が滅入るな」
思ってもいないことを口にすると、「どうせ止めても続けそうだ」と親友から的確なツッコミが入れられ、修夜は思わず閉口する。
〔とりあえず、調子は良さそうだね〕
「あぁ、今回も助かってるよ。ありがとうな」
〔蒼羽技研の名前を背負っている以上、一分(いちぶ)たりとも仕事に気は抜けないさ〕
顔はいつもの爽やか
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