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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第三十話『泣きだしそうな空の下で』
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ていては、わたくしたちには量りかねてしまいます。真面目な箒さんのことですから、周りに余計な心配をかけまいとしていらっしゃるのでしょう。……それでも、少しはわたくしたちに、そのお気持ちを肩代わりさせてくださいな」
返す言葉もなかった。
平気なふりをして我慢しようとする自分より、少しでも相手を理解しようと向き合ってくるセシリアの姿が、箒にはとても立派に見えた。
同時に“焦りのるつぼ”に、また性懲りもなくはまっていた自分を恥じた。
無人機に対して無茶な攻め方で押し切ろうしたときと、今の自分に大差がないことに気付く。
情けなくて、泣きたくなった。
「すまない、また……私は……」
「いいですよ、少しずつ慣れていけば良いのですから」
空模様と同じ顔の箒に、セシリアは柔らかい日差しのような笑みを向けた。
(このところ本当に、セシリアに助けられてばかりだ……)
一夏の特訓中に始めた空中戦の訓練、部屋替え事件での立ち回り、無人機戦でのフォロー、そして今し方のやりとり……。
セシリアと仲を深めていく中で、いつの間にか箒は彼女の世話になることが増えていた。
それに対して、自分が彼女に報いることが出来たか。
自分の不甲斐なさで、箒は膝を屈してしまいそうになる。
「……セシリアは――」
「はい、何でしょう?」
「……セシリアはどうして、真っ直ぐ立っていられるんだ?」
気が付けば、箒はそんな問いを発していた。
「国家代表候補に、自分の家の命運に、ご両親のことだって……。
 どうしてそんなたくさんの荷物を背負って、そんなに堂々と立っていられるんだ……?」
箒には今のセシリアが、とても強く美しい少女に見えた。
付きまとう現実から逃げるため、一心不乱に剣の道に没頭してきた自分の在り方に比べ、自分の現実と正面から向き合うことを選んだセシリアの在り方が、箒にはとても眩しく、自分の理解の及ばない崇高なものに思えた。
だからどうしても、訊かずにはいられなくなった。
「……そうですわね、箒さんたちとこうしていられるお陰でしょうか」
寸の間の沈黙ののち、返ってきたのは箒の不意を突く答えだった。
「以前のわたくしは、箒さんがおっしゃったものすべてを、自分一人で背負っている気になっていました。ですが、先日のお鍋のあとでチェルシーさんと語り合って気付けたんです。『自分は本当に多くの方々の支えで今ここにいる』と……」
一夏のわがままに端を発した鍋会の夜、会場となった自室から修夜たちが去ったあとに、セシリアは自身の世話役であるメイドのチェルシー・ブランケットと久方ぶりに語らいの場を持った。
そこで二人は、互いの心の内を明かし、友として、主従として、何より幼馴染として、互いを支え合いながらこの先を進んでいくことを改めて誓い合った。
「チェルシーさんには皆さんと
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