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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十九話『台風の目の中で』
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…?」
「有り体にいえば、そうなるね」
とんでもない乱入があったもんだ。
一瞬、俺は格闘ゲームのアーケード機で乱入してくるプレイヤーや、ノーコンティニューで出てくる隠しボスを思い起こしたが、それにしては巻き込まれた方の数が半端じゃなかった。
ゲームならプレイヤー一人で足りるけど、今回巻き込まれたのはこの学園の“ほぼ全員”だ。俺一人を狙うために、第二アリーナにみんなを閉じ込め、鈴を巻き込み、千冬姉や山田先生に負担をかけて、修夜たちにも危ない目にあわせて……。
なんでだよ。
何でそんなことになるんだよ。
俺に用事があるなら、堂々と俺だけ狙ってくれば早い話じゃないか……!!
何か分からないけど、とにかく無性に腹が立ってきた……!
怒鳴り散らしたい気持ちを堪えるために、布団の端をぐっと掴んで握り込んだ。
「……ふざけたヤツだぜ」
修夜の方も、気分は俺と似ているらしい。見て分かるぐらい眉間にくっきりとしわを寄せながら、不満そうに言い放った。修夜らしい、“誰かのため”の怒りだった。
そうだ、ふざけんな。みんなに迷惑をかけといて、自分は遠くからデータを取りたいだけ取って知らんぷりとか、何様だよ……!
考えれば考えるほど、ふざけたヤツだ。自分のこと以外、何も考えちゃいない!
二人して、一気に怒りのボルテージが上がっていく。
ところが、俺の知る限り一番そうことに敏感そうな拓海が、変に落ち着いていた。
それから「悪いけども」と、これも変に冷静な口調で話をはじめた。
「……これは予測だけど、今回の件は内々(うちうち)で処分される可能性が高いと思う」
拓海のうなだれた様な声に、俺も修夜も弾かれたように拓海を見返した。
「大ざっぱにいえば、この事件は【なかったこと】されるんだ、多分ね」
何か無茶苦茶なことが聞こえた。
なかったこと?
みんながあれだけ苦しんで、恐い思いをしたことが?
「どういうことだよ、それ……」
俺は思わず、率直な疑問を口からこぼしていた。
「この学園が、【IS社会にとっての砦】だからだよ」
一息置いて、拓海は続けた。
「この学園は、日本政府が防衛省から部隊を派遣して守らせ、宇宙からはアメリカの高性能の監視衛星で見張らせ、有事に際しては学園内の総戦力をもって事態に対峙する体勢が徹底されている。
 それが今回“まるで機能せずに終わった”んだ。これが世の中に知られれば、日本政府はおろか、IS学園の運営陣、ひいては国際IS委員会にまでその責任が問われる。
 そうなれば、IS全体の信用問題にもかかわってくる。最悪、ISの存在そのものが危うくなる」
言っている意味がいまいちわからない。
どうしてみんなが危険な目に遭ったことが知られると、ISが消えることになるんだ。
危険なことがあったなら、それを知らせて防止する
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