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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十八話『鉄鋼砕く風獅子の牙』
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、これは“爆弾の解体作業”。成功すればこちらの権利は奪還でき、失敗すればいかなるペナルティが来るかわからない、まさに爆弾そのもの。面倒くさいものです」
拓海の話すうちにも、タイマーは刻一刻と時間を進めていく。
「ただ、今までのこの状況を見ていて、ふと思ったんです」
「何を……ですか……?」
「画面の向こうの相手の標的は、この学園ではなく、今戦っている【みんなの中の誰か】じゃなのか、と……」
その一言に、教師二人は言いようのない不安を覚える。
「思ってみれば、全校生徒の大多数を人質にとりながら、犯人がやったことはこのアリーナの封鎖と、あのISを使って一夏を追い回したことだけ。システムも占拠したあとは、こちらに対抗することもなく、ほったらかし同然でした。
 さらにアリーナには第二波を用意し、それと同時にこのパズル。妨害のタイミングとしては、遅い割に変なところでタイミングが良すぎます。まるで、修夜や一夏たちをより長く戦わせるためのように……」
タイマーの表示は既に一分を切り、徐々に回答時間が迫ってくる。
「それって、まさか……」
「“戦闘データの回収”、もしくは“ISか操縦者の奪取”が目的か……!?」
穴と矛盾だらけのこの非常事態が、もし【それだけに】存在するとしたら。
敵は最大戦力を封殺し、五人のうちの誰かの力を計り、あわよくば連れ去ろうとしているのなら。侵略プログラムが、手際と堅牢さに反して反撃への抵抗がなく、代わりに意図不明なパズルを寄越したのも、すべてが“戦いのための時間稼ぎ”だったなら……。
「もう一つ、あのISの武装は“全てビーム”で構成されていました。それに完全に対抗できるのは、一夏の――」
零落(れいらく)白夜(びゃくや)……?!」
拓海の言葉に、千冬はおのずと答えを導き出した。
「じゃ…じゃあ、あの所属不明機は、織斑君と白式を狙ってきたって、ことですか……!?」
真耶の驚嘆とほぼ同時に、コンソールから耳障りな電子音が鳴り響いた。
見れば、画面の背景が青から赤に染まり、マス目の下のタイマーが既に起動している。
「どうやらこれ以上の答えは、この問題を解いてからですね」
小さく呟くと、拓海はキーボードの方向キーと数字のキーに手を構え、システム奪還のときのように、一呼吸を置いて集中をはじめる。
「数値の配列……、あそこに“3”で……あそこには“7”……」
機械の駆動音と、拓海の独語だけが空間に反響する。
「…………解読、開始します」
気がつけば、千冬も真耶も、拓海の放つ雰囲気にのまれ、数値が打ち込まれては消える画面にかじりついていた。

奇しくも、拓海の開始と時を同じくして、Aモニタールームの画面には、無人機に向かって突撃する修夜たちの姿が映っていた。

――――

第二アリーナ・バトル
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