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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十八話『鉄鋼砕く風獅子の牙』
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……どうして、そんなにまっすぐ、真行寺君たちを……?」
自分より年下のこの細身の少年のどこに、これほどの剛健な精神が宿っているのか。真耶にとってそれは、自分の理解の範疇を超えた現象だった。
その答えを求め、彼女は現象そのものへ問いただしてみる。
「修夜は僕の“家族”で、一夏たちは“大切な仲間”ですから!」
それが返答だった。
「それだけ……ですか……?」
あまりに不合理で単純な理由に、真耶は目を丸くしてしまう。
「もちろん、今日までの特訓の成果や、彼らの戦いへの意気込み、先ほどまでの戦い方も検証に入れていますよ。でもそれ以前に、僕は彼らの【可能性】を信じているんです」
「……可能性、ですか……?」
「はい、“必ず生きて帰ってくる”という、その可能性を……です」
やはり回答に迷いは無い。
「可能性は、信じるからこそ生まれるものです。まだ見えない結果に、最初から後ろ向きになって怯えていたら、叶うものも叶わない。例え十中八九の失敗だったとしても、希望があるなら、僕は迷わず、残った一か二に向かって足掻きます」
コンソールに向かいながらも、拓海は真耶に語りかけ、自然と笑みを浮かべていた。
その優しい笑顔とは裏腹に、拓海の瞳に宿る光は、闇夜を照らす焚き火の炎のように見える。
「まぁ、ある意味では職業病ですよ」
真耶は、少し照れくさそうに笑った少年を見て、どこか自分より年上のように感じるのだった。
そんな折に――

「む、何だコレ?」
「どうしたんですか、主任さん……って、え……?」

拓海が画面を見て声を上げたため、真耶はおもむろに拓海のコンソールを覗き込んで見る。
そこには、九×九のマス目に数個ばかりの数字が並んだ、謎の表示が存在していた。
その上には『ENTER』という、四角いボタンも表示されている。
「どうした、二人とも」
異変に気がついた千冬は、モニターから離れて拓海のコンソールに近づいてくる。
そして画面を覗き込むと、沈黙ののちに怪現象におのずと首をひねる。
「相沢主任、これはなんだ……?」
「あぁ、これは……多分、『数独』、いわゆるナンプレってヤツですかね……?」
「……はぁ?」
訝しがるのも無理はない。クラッカーに対処していたら、パズルが出てきたなど、珍現象以外になんといえばいいだろうか。
数独は“ペンシルパズル”という記入式の数学パズルに一種で、九×九の八十一マスに一から九の数字を入れていくものだ。
ナンバープレース(Number place)』と英訳されることから、“ナンプレ”とも呼ばれる。
≪同じ列・同じ行に重複する数字があってはならない≫
≪三マスずつに区切った囲み線内で重複する数字があってはならない≫
この二つのシンプルかつ奥の深いルールから、多くのファンを持つパズルのヒッ
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