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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十八話『鉄鋼砕く風獅子の牙』
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牙をむく。
体とともに折れそうになる心。
それを奮い立たせ、誤りなく一戦を振り抜くために――
「……っっ、うおおぉぁああああぁぁあぁっ!!」
白い矢は、腹の底から吼え猛る。
声は自身の意識を制し、意識は全身に確かな力を漲らせる。
怒号を耳にした箒と鈴は、抑え込んでいた無人機の巨体からすぐさま後退し、射撃に切り替える。
前から迫るに反応した無人機は、すぐさま回避ルートを検出して、避けようとした。
だが、検出して行動を取る、わずか数秒の間。
その間が、無人機に致命的な隙を生んでしまった。
「そこだあぁぁぁあっ!!」
反撃の嚆矢(こうし)が、眼前に獲物を捉える。

――ざんっ!!

昇り一閃。
白亜の奔流は、無人機がとっさに構えた局所バリアーシールドを、薄氷を砕くように破り、右腰から左肩へと削るような一撃を見舞う。
砕けたバリアーが、ガラス割れるような音を立てて飛び散り、消えていく。
一撃を見舞った嚆矢は、放たれた勢いそのままに、空へと駆け上がっていった。
たたらを踏んでよろめく無人機。
崩れそうな態勢を、全身のスラスターを駆使して立て直し、前屈みで踏ん張るような姿になる。

そこに、空を裂く轟音がこだまする。
長大な槍を携えて、黄昏色の弾丸が、目にもとまらぬ勢いで突撃してきたのだ。
見えたかと思ったときには、弾丸は既に目前に迫っており、次の一瞬には鉄色の巨体の左肩に、深々と槍を喰い込ませていた。
黄昏色の弾丸はなおも勢いよく飛び、無人機を串刺しにして、フェンスへ豪快にぶつかっていく。
アリーナさえ揺らす衝突と音とともに、金属の体はフェンスにめり込りだ。
それでも抗おうとするのか、四つの赤い目が、修夜を睨むように妖しく光り、必死に腕を動かして修夜を掴もうともがく。
「コイツで……終わりだっ!!」
“もうその顔は見飽きた”という思いとともに、修夜は突撃槍のグリップにあるスイッチを押し、グリップ自体を前へと滑らせた。
それを合図に、槍は金切り声をあげて内部の機関を駆動させる。
すると、槍から膨大なエネルギーが無人機に向けて注入され、左肩の装甲が醜く膨れはじめる。
その膨張は一気に左腕、左半身に達し、ついには上半身の左側を爆発させた。
鉄の装甲がグロテスクにねじ曲がり、爆発とともに消し飛ばされる。
巨体が揺らぎ、右へと倒れていく。
左側を失う大ダメージ。
決着は、もはや火を見るより明らかだった。

しかし――

「なっ……!?」
金属の怪物は、倒れ伏すことを拒むかのように、修夜の右足を巨大な手で掴んだ。
残ったスラスターを全力で吹かし、必死に姿勢を維持している。
“捕まえたぞ”
そう不気味に笑っているかのように、赤い光が修夜を見つめる。
(ゾンビかよ、コイツは……!?)
無人機
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