暁 〜小説投稿サイト〜
IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十八話『鉄鋼砕く風獅子の牙』
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第二アリーナ・バトルフィールド内――

フィールドを風のように走り、黒い巨躯に走り寄る、白銀の風。
修夜たちから離れた白夜は、降り立った二体の無人機を引きはがしにかかった。
「オン…………――」
唇の前に右手の二指を立て、口の中で不可思議な言葉の羅列を紡ぐ。
その二指を向かって右側の無人機に振りかざした瞬間、黒い巨躯は爆炎に包まれた。
続けて白夜は振りかざした二指を上に切り、さらに左斜めに振り落とす。
すると今度は、爆炎が蛇のように絡みつき、バリアシールドごとその巨躯を持ちあげ、炎の洪水となって左斜め下へと押し流していった。
白夜の未知の攻撃に対し、残った左側の無人機は、肩の砲門からビームの弾丸を掃射し、彼女を牽制する。
それに対し、白夜は側方宙返りの要領で、華麗に飛び跳ねながら避けていく。
ときに横にずれいき、ときに弾幕の狭間を飛び越え反対にと、まるで猫か猿のようである。
「オン……――」
飛びまわりながらも、白夜は再び二指を唇の前に置き、謎の呪文を口に含みはじめる。
唱え終えて二指に息を吹きかけると、なんと一瞬にして白夜の姿が消えてしまった。
いきなり標的を失った無人機は、機械でありながら、動揺したように辺りを見回しはじめる。
「――發剄(はっけい)……!」
その声が、右後方から聞こえたときだった。
無人機は白夜のがかざした掌に、“触れられることも無く”豪快に吹き飛んだのだ。
距離にして五十メートル、修夜たちのいる方へと、水切りの石のように跳ねて転がっていく。
「はてさて、お膳立てはこれですんだかのぅ……」
そう言うと、最初に攻撃を加えた無人機に向き直る白夜。
対する無人機も、白夜を明確に“目的の障害”と判断したらしい。何事もなかったかのように起き上がり、そのセンサーカメラに白夜を捉え、赤い四つの目を不気味に光らせる。
「さて人形よ、貴様からは“大莫迦者(おおばかもの)のにおい”がしておるでな……。
 かわいい弟子たちのもとには行かせんよ、ワシと遊んでもらうぞえ……?」
不敵に、妖艶に、白夜はその顔に笑みを浮かべた。
もの言わぬ無人機は、ただ白夜を見据え、ゆったりと地上を滑りはじめる。

その姿を見て、白夜は腰に()いた大太刀にそっと手をかけるのだった。

――――

「そういえば、修夜が言う“切り札”ってどんなのだよ……?」
作戦を前にして、一夏は当然の疑問を忘れていたことに気がつく。
修夜も、失念していたのか、自分の焦りを恥じているのか、頭をかきながら説明をはじめた。
「あくまで拓海からの話なんだが、『ブラスト』には<ヴァンガードホーン>っていう突撃槍が装備されている。コイツは敵と衝突すると、強烈な【輻射波動(ふくしゃはどう)】を発する代物らしい。命中すれば、その力で相
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