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IS 〈インフィニット・ストラトス〉〜可能性の翼〜
第二章『凰鈴音』
第二十七話『八千年之神狐(やちとせのみこ)』
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ださいませっ、危険すぎますわっ!?」
「いいや、心配しなく出大丈夫だ、セシリア」
「修夜さんっ、ナニをそんな呑気な事を……!?」
大太刀以外の武装らしいものが無い白夜を、無謀と思い引き留めにかかったセシリア。だが修夜は特に焦る様子もなく、セシリアの制止を無粋とも言いたげに、逆に止めに入った。
「端的に言うぞ。師匠は千冬さんが『ISあっても戦いたくない』って、逃げ出すほど強いから」
「…………はい……?」
セシリアには、修夜の言っていることの意味が分からなかった。
ISはそれだけ一機で都市一つに大打撃を与え得る、一騎当千の兵器である。
そして織斑千冬は、第一回世界大会(モンド・グロッソ)での優勝を十代の内に勝ち取り、今なお世界有数のIS操縦者として、憧憬と羨望を集める稀代の女傑だ。
その兵器が、その女傑が、無敵の二つが“裸足で逃げだす”というのだ。
それを理解できるかといわれても、まず常人には及びもつかない事態である。
「え……えっと、それはISに匹敵し得る、何か特別な兵器を――」
「無いな。あれぐらいなら、大太刀一本あれば(なます)に叩くだろうし……」
「……はいぃぃぃいい……!?」
いつも淑女然と優美に構えるセシリアの顔が、このときばかりはとても間抜けなものになった。
自分たちがさんざん苦労して撃墜した金属の怪物を、あの妖艶な美女は【生身】であしらってしまうのだと、修夜は言っているのである。
「そんな……そんな荒唐無稽なお話が――!?」
「白夜先生なら……イケるな……」
「うん……、白夜先生なら……舞を舞うように、華麗に倒しそうだ……」
修夜の証言が信じられないセシリアだったが、一夏と箒の遠くの故郷を望むような、生気の抜けた目と空笑いを見て、二人はその“片鱗を見た”ことで自分の無力感に浸っているのだと、直感で理解した。
「気を抜いている場合じゃないぜ……」
ぐずぐずの雰囲気の中で、修夜は全員に気を引き締めるように声をかけた。
「師匠が一体潰し終えるまでに、俺らはもう一体を潰さなきゃならない。
 俺個人の進退もそうだが、一番はまたパニックになったこのアリーナを、もう一度、鎮静化させなきゃならないってことだ」
十分以内での無人機の撃破。
とてつもない無茶ぶりだが、これを成功させなければ、修夜は白夜から一週間こってりと絞られることになる。それだけならまだしも、事実、現状を打破するには、無人機を再び黙らせる必要がある。
「そんなこと言っても、宛てはあんのかよ……!?」
一夏がもっともらしい一言を、修夜に向けた。
「俺の【ブラスト】と、一夏の零落白夜(れいらくびゃくや)を解禁すれば、たぶんな……」
「ブラスト……?」
修夜の口から、聞き慣れない単語が飛び出した。
「セシリア、Bピットルームで話した
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